日々ぴこぴこ

TESとかFalloutとか、思ったことを淡々と。

ダンウィッチ・ボーラー

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ボストン北東にある、大きな鉱石工場。

いうまでもなく、ダンウィッチ・ボーラーはダンウィッチ・ホラーにかけている。

ダンウィッチ・ホラーというのは、クトゥルフ神話の1つ。クトゥルフ神話というのは、20世紀アメリカの怪奇・空想作家たちによって築き上げられたもので、既成宗教とは違い、すでに消え去ってしまった太古の神々が、異形の神として復活する、ていうような世界観。こうした世界観を元に築かれているストーリーという点が重要。

 

borerは穴あけ機。つまり、ダンウィッチ掘削機という感じ。

ダンウィッチについては、Fallout3で初めて登場する。ダンウィッチ・ビルですな。

 

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Windows10になってから3がプレイできないんだけど、ものすごい演出効果がされたスポットで、結局何が何だかわからないところだったのは覚えている。

ダンウィッチというのは、クトゥルフ神話で築かれた架空の村なので、アメリカの人ならばネーミングだけで気づくようなものらしい。日本でいえば「四谷」みたいなもんかね。

 

ダンウィッチビルは

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ダンウィッチ・ボーラーLLC(ダンウィッチ掘削機合同会社)によって運営される施設で、マサチューセッツの鉱石場はダンウィッチ社が戦前所有する拠点の1つだった。

 

エストラインとしては、掘削先を探索するたびにフラッシュバックする戦前の記憶、そして最奥部には池があり、その奥には人型の巨像と、祭壇があった、というもの。

 

ダンウィッチ社の上層部は、オカルトに熱中するあまり、会社としての目的を商業ではなく、復活する太古の神々の探索に向けていたのだろう。そして、神々を発見したとき、工夫たちは祭壇にささげられる人身御供となるはずが、核戦争によって総グール化してしまった、というのが全体像だと思う。

ダイヤモンドシティ・ラジオ Sixty Minute Man

いろいろな曲を紹介するダイヤモンドシティ・ラジオ。

3の時同様、ラジオはこのゲームを構成する、重要なピースの1つ。

 

さて、個人的に気になった曲を調べてみた。

Sixty Minute Man

Billy Ward and his Dominoesという有名なボーカルグループによってうたわれ、1950年代アメリカの代表曲の1つ。

もちろん、ミニットマンにかけた選曲。

 

ところが、ミニットマンの実態とは大きくかけ離れた内容に驚愕する。

翻訳すると、60分の男。

これは、あれですね、60分だけの恋人みたいな感じです。

 

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歌詞はここに載っているけれど、Lovin' Danというのは当時アメリカで流行していた、バックドアマン、つまり既婚女性相手の恋人のことです。60分だけ、奥様の恋人になりますよ、って歌。

あまりになまめかしい歌詞なので、びっくりするけれど、15分ごとに「奥様」を感動させて「まあ!本当に60分の男ね!」と言わせて見せますよ、てきな。

 

アメリカでは1950年代というと、黒人の公民権運動が有名。音楽の世界でも、黒人と白人の対立はあって、黒人音楽と白人音楽は厳然と分けられていた。白人音楽として代表的なのはカントリーミュージック

Sixty Minute Manは現在、R&Bに位置づけられるけれど、これはのちに様々な音楽文化と融合して、ロックにつながる。

歌詞にも”I rock 'em, roll 'em all night long”とあるけれど、これは夜じゅうずっとセックスできるぜ、っていうアピールの1つ。ロックンロールの語源が「あばれる睾丸」と言われるとおり、黒人のスラングでもあった。

 

世俗的な、卑猥な内容ながら、ブレークすることでR&Bは地位を向上し、白人社会に受け入れられていった。闘争によって黒人文化や黒人の権利を獲得する流れがある一方で、文化的に「静かに浸透する」このような公民権運動が、こういった歌の背景にあったことを忘れてはならない。

セイラム

ゲーム上ではサレムと表現される街。

知る人ぞ知る、魔術師裁判の悪名名高い事件の地で、近くに魔術師博物館があるのはそういう理由。

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街の各所には、最近まで小さな居住地として機能していた雰囲気が残るが、現在はバーニーひとり。なぜ彼だけになったのか。彼は多くを語らない。

マイアラークの襲撃で全滅に瀕したとみられないこともないが、そこまで凄惨な現場を見出すことはできない。

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このWikiによると、映画「トレマーズ」の一作目で、地下シェルターを備えた重度のガンマニア、バート・ガンマーをモチーフにしている。相棒のリーバは、奥さん役を演じたリーバ・マッキンタイアから来ている。なるほど。

 

エストをクリアすると、バーニーに話しかけても全く応じなくなる。バグではなく、そういう設定。

ひょっとすると、このサレム(セイラム)が「居住地だった」というのも、バーニーの一人芝居、いわば妄想の産物なんじゃないかと思えなくもない。

サレムに残る、食堂に行ってみると、めずらしくシェフ姿の骸骨を見出すことができる。つまり、大戦直後の状況もそのまま、残している。戦後、居住地となったのならば、なぜこれらの骸骨が片付けられなかったのか。

 

マーケットにも申し訳程度に商品を遺しているが、考えてみれば商品を残したまま、トレーダーや住人が立ち退くだろうか。惨殺されたという雰囲気も感じ取られないことから、これはバーニーひとりで演出した町の風景であり、もともと彼以外、住人がいなかったのではないか、と思えなくもない。

Last Voyage of the U.S.S. Constitution

コンスティチューションを巡るクエストには、いろいろ感慨深いものがある。

 

まず、船。U.S.S. Constitutionとは、「アメリカ合衆国軍の船・コンスティチューション」という意味があり、イギリス海軍における「HMS」のようなもの。

アイアンサイズという異称は、側壁が鉄のような固さという称号であり、帆船時代のなごり。帆船での戦闘では、双方数十門の大砲で撃ち合う。その際使われる玉は丸い、榴弾ではないものなので、いわば大きな鉄球で敵艦の側壁を打ち破る。

よく、海賊が頭に布切れを巻いているけれど、あれは大砲で四散する側壁の木片から頭を護るためのものだ。もちろん、海軍での船員も同様な方法で、身を護った。

帆船での戦闘では、マストや側壁、甲板の構造物がすべて木材でできているので、大量の木片が飛び散り、あたりに四散した。もちろん、人もケガするけれど、榴弾のような大砲の玉自体が船員を傷つけるのではなく、船の構造物、いわば自分たちの乗っている船の構造物こそが、最大の障害であった。

だから、大砲の玉から身を護るためには、甲板や側壁をより強く、粘り気のある木材での軍艦建造が求められた。鉄材で作るともちろん強度は増すが、スピードが出ない。いわば、大きな標的になってしまうので、結局木造帆船が一般的になる。

蒸気機関などの推進技術が発達すると、鉄でもなんでもこい、になる。

 

ウェザビー貯蓄貸付組合のてっぺんになぜか居座る、改造されたコンスティチューションと遭遇した111は、見張り役のロボットから、戦前のデータベースにアクセスされ、連邦議会軍の一員として艦に入り、船長・アイアンサイズとの面会を求められる。ネイトなら陸軍在籍の履歴、ノーラなら市民として。

このウェザビー貯蓄貸付組合だけれど、厳密にはWeatherby Savings & Loanとあり、広く市民から貯金を求め、その資金で主に住宅ローンに貸し付けて、利殖を生み、貯蓄者に一定の金利を還元する組織であり、銀行の前身のような構造。アメリカでは住宅購入層は比較的健全で善良な貸し付け相手なので、こうした金融組織が活発だった(住宅を買えない人は公共団地に住む)。

 

このシチュエーション、以前からなんか意味があるんだろうなあ、と思ってた。

アイアンサイズ船長が、なんどもしつこく「貯蓄貸付組合」がどうたらこうたら、いうでしょ。

そしたら、本家Fallout4Wikiにこんなのがあった。

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”The quest is a reference to The Crimson Permanent Assurance, a short film by Monty Python.”

モンティパイソンの作品で、”The Crimson Permanent Assurance”てのがモチーフになっているらしい。

さっそく見てみたら、こういう話。

1983年、アメリカの経済的影響下にあって、拝金主義的な傾向にあったイングランド・ロンドン。終身雇用制度の企業は、老人であっても労働者をこき使い、厳しい毎日を送らせていた。

彼らのタイプライターを操る動作は、まるで中世ヨーロッパのガレー船徒刑囚のようであり、それを監視する企業重役は、徒刑囚に鞭打つ船員のようであった。

ある老人が解雇を言い渡されると、他の老人労働者は一斉蜂起し、重役たちを会社から追い出す。そして、シーリングファンの羽をサーベルに見立てて武装する。建物はちょうど側壁の補修工事であり、仮足場とネットが一面にされていたが、労働者たちはこれを帆に見立てて操作、船員の一人が「錨を上げろ!」と叫ぶと、なぜか建物から地面に埋められていた、大きな鎖が引き抜かれ、錨を挙げた建物は海賊船のように旅立つのだった。

彼らの目的は、拝金主義の象徴・金融街であり、金融街でドタバタとなる、という感じ。

 

アメリカの「モチーフ」ってのが、今一つわかりにくいけれど、なんとなくなるほど、と分かる気もしないでもない。

 The Crimson Permanent Assuranceは簡単な英語で作られたショートムービーなので、一見をおすすめ。

 

 

フリーランサー

一定の条件をクリアすると、バンカーヒル勢力に加わり、開拓地となる。

殆ど開拓されていて、せいぜい防御物を構築するくらいが精いっぱいだけど、それ以上にあるアイテムが開放されるので、バンカーヒルを味方につけることは有利だ。

 

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時々、会話の中でよくわからない言い回し(誤訳?)があるから、そのたびにセーブして調べてみるようにしている。

このケスラーの会話もよくわからんので。

speakeir.hatenadiary.jp

一度紹介したツールで調べてみた。

原語では、

”But above all, you're just a freelancer working for yourself. Never even heard of us on the Hill, right?”

と言っている。

でも、それよりも、あなたは自分自身のために働く、フリーランスよね?この「ヒル」の私たちのことなんて、聞いたこともないでしょ、違う?

という感じだろうか。

ケスラーは、主人公がフリーランスとして、その時々に雇われる対象に従って行動するのに、なぜ「ヒル」のために働こうとするのかを疑問におもい、また、少し疑ってかかっているのだろう。そういうニュアンスかな。

 

確かに、ミニットマンだろうとインスティチュートだろうと、このゲームでの主人公は、その時々の契約者に従って行動するから、フリーランスなのだ。

フリーランスが正義や悪を掲げても、馬鹿げているのは言うまでもないのだ。

なるほどなーと思った。

Fallout4を久々にやってる。

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Fenway Parkが「ダイヤモンド・シティ」になったのはいろいろ面白いネーミングセンスだと思う。

ベセスダの特徴として、こだわりに凹凸があるというか、波があって、例えばSkyrimだと冒頭からホワイトランまでの描写は克明で丁寧だけど、町によって雑だったりするように、Fallout4の場合はダイヤモンドシティとその周辺はとても丁寧だけど、雑な地域も多いよね。

この市長室からの景色なんか、気合入りすぎだと思うけれど。

 

 

 

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ハングマンズ・アリー。処刑場の辻、と表現すべきかな。

ダイヤモンドシティに最も近くて、最も住居化しづらいところ。

この周辺を歩いているとわかるけれど、Fallout4の世界では、フェンウェイ・パーク周辺の道路事情ってとても悪くて、たぶん歩行者天国的な空間だったような気がする。とても、Fallout4の大型車が行き来できるようなところじゃない。

殆どの人は、地下鉄を利用して歩いていたのだろう。

そんなことを想像しながら、雑踏跡を歩くのも楽しい。

Fallout3、NVから4へ

Fallout4はいろいろ酷評されることが多いタイトルだけれど、これは以前、僕もここやSteamのレビューで書いた。

 

最近、Oblivionをパッケージ購入し、遊んでいると、いろいろ気づかされる点が多かった。今回は、Fallout3、NVと4の違いについて、思いついた限り、散文で書いておこうと思った。もちろん、最近このブログがもろもろの日本語化サイトと化していることは理解しているが、そもそもそういう目的でブログを開設したのではないし、ここは僕のサイトなわけだし。

 

Fallout3やNVと4の違いで、一番最近感じるのはキャラクタの性格というか、設定だろうと思う。

例えば、3のメガトンやNVの派閥(NCRやシーザーなど)は、自己の権益と保身に懸命で、壁の外には全く興味がなかった。それでも外を探索する連中を、馬鹿にするわけではないけれど、物好きのように扱われることが多かった。

メガトンのモイラ・ブラウンはかなり狂った女性だが、それは現代のわれわれから見れば狂っているけれど、彼女は彼女で、崩壊した文明の世界にどのように生き延びるか、どのような危険に対処するかを考察し、命知らずの111を雇って大金を払い、仕事をさせていたわけで、考えてみれば狂っているのではない。驚くべき商人なのだ。彼女と111が作成した「ウェイストランド・サバイバルガイド」はその後、様々な人々に読み継がれる名著となっているわけだけれど、これも決して未来を志向したものではない。いわば、目の前の、1日先を見るだけの対処方法であって、文明再建なんてどうでもいいのだ。

キャピタル・ウェイストランドのレイダーが人間を狩猟し、捕食しているのも、いわば毎日生き残るための方便であって、現実的にあり得る話だろう。

NVでも、主人公の目的と、様々な派閥の目的は四方八方に飛び散っていて、どこにゴールがあるのか、そもそもゴールはいくつあるのか分からないような世界観が広がっているが、それが核戦争後の世界という観念を、プレイヤーに植え付けた。

 

ところが、Fallout4は文明再建をテーマにしているとしか思えない内容になっている(ヌカ・ワールドを除き)。キャラクターたちは、この世界をより良くしようとしている。他人の行動に干渉し、驚くほど親切だ。

 

キャピタル・ウェイストランドやヴェガスの人々が、まるで放射能に脳までやられてしまったようなほど、無関心で無寛容であったのに、ボストンの人々は親切で、自我の欲望を驚くほど自制している。

この違いは大きいような気がする。

まるで、4の世界はただ文明が崩壊しただけの、いわば枯渇した炭鉱を抱える地方農村のようなもので、放射能の影響や決定的な人間の変化が見られない。

 

インスティチュートと地上の人々との違いを見ても、これはわかり易い。インスティチュートの人々は、限りなく戦前の人々を写しているはずで、地上の人々とは価値観や考え方が全く違うはずなのだ。キャピタル・ウェイストランドのような世界が地上に広がっているとすれば、インスティチュートの人々は、人造人間を大量に製造し、人々を「浄化」というきれいな言葉で抹殺していたのではないか。

 

これは、ゲームのシステムからくるものだろうか。僕は、設定からくるもののように思う。某世紀末漫画が、当初は壮大なギャグマンガとしてスタートしたものの、読み手が真剣になってしまったことから、壮大な世紀末列伝に軌道修正しなければなかったように、Falloutというタイトルを継承したメーカーは、「新鮮な肉だヒャッハー」世界から「壮大なポスト・アポカリプス列伝」に軌道修正しなければならない、それも商業的な意味合いから、そう認識した結果が、このようなFalloutの性格変化、軌道修正なんじゃないか。

 

今のところ、散文的だけれどそう思っている。