日々ぴこぴこ

TESとかFalloutとか、思ったことを淡々と。

Last Voyage of the U.S.S. Constitution

コンスティチューションを巡るクエストには、いろいろ感慨深いものがある。

 

まず、船。U.S.S. Constitutionとは、「アメリカ合衆国軍の船・コンスティチューション」という意味があり、イギリス海軍における「HMS」のようなもの。

アイアンサイズという異称は、側壁が鉄のような固さという称号であり、帆船時代のなごり。帆船での戦闘では、双方数十門の大砲で撃ち合う。その際使われる玉は丸い、榴弾ではないものなので、いわば大きな鉄球で敵艦の側壁を打ち破る。

よく、海賊が頭に布切れを巻いているけれど、あれは大砲で四散する側壁の木片から頭を護るためのものだ。もちろん、海軍での船員も同様な方法で、身を護った。

帆船での戦闘では、マストや側壁、甲板の構造物がすべて木材でできているので、大量の木片が飛び散り、あたりに四散した。もちろん、人もケガするけれど、榴弾のような大砲の玉自体が船員を傷つけるのではなく、船の構造物、いわば自分たちの乗っている船の構造物こそが、最大の障害であった。

だから、大砲の玉から身を護るためには、甲板や側壁をより強く、粘り気のある木材での軍艦建造が求められた。鉄材で作るともちろん強度は増すが、スピードが出ない。いわば、大きな標的になってしまうので、結局木造帆船が一般的になる。

蒸気機関などの推進技術が発達すると、鉄でもなんでもこい、になる。

 

ウェザビー貯蓄貸付組合のてっぺんになぜか居座る、改造されたコンスティチューションと遭遇した111は、見張り役のロボットから、戦前のデータベースにアクセスされ、連邦議会軍の一員として艦に入り、船長・アイアンサイズとの面会を求められる。ネイトなら陸軍在籍の履歴、ノーラなら市民として。

このウェザビー貯蓄貸付組合だけれど、厳密にはWeatherby Savings & Loanとあり、広く市民から貯金を求め、その資金で主に住宅ローンに貸し付けて、利殖を生み、貯蓄者に一定の金利を還元する組織であり、銀行の前身のような構造。アメリカでは住宅購入層は比較的健全で善良な貸し付け相手なので、こうした金融組織が活発だった(住宅を買えない人は公共団地に住む)。

 

このシチュエーション、以前からなんか意味があるんだろうなあ、と思ってた。

アイアンサイズ船長が、なんどもしつこく「貯蓄貸付組合」がどうたらこうたら、いうでしょ。

そしたら、本家Fallout4Wikiにこんなのがあった。

fallout.wikia.com

”The quest is a reference to The Crimson Permanent Assurance, a short film by Monty Python.”

モンティパイソンの作品で、”The Crimson Permanent Assurance”てのがモチーフになっているらしい。

さっそく見てみたら、こういう話。

1983年、アメリカの経済的影響下にあって、拝金主義的な傾向にあったイングランド・ロンドン。終身雇用制度の企業は、老人であっても労働者をこき使い、厳しい毎日を送らせていた。

彼らのタイプライターを操る動作は、まるで中世ヨーロッパのガレー船徒刑囚のようであり、それを監視する企業重役は、徒刑囚に鞭打つ船員のようであった。

ある老人が解雇を言い渡されると、他の老人労働者は一斉蜂起し、重役たちを会社から追い出す。そして、シーリングファンの羽をサーベルに見立てて武装する。建物はちょうど側壁の補修工事であり、仮足場とネットが一面にされていたが、労働者たちはこれを帆に見立てて操作、船員の一人が「錨を上げろ!」と叫ぶと、なぜか建物から地面に埋められていた、大きな鎖が引き抜かれ、錨を挙げた建物は海賊船のように旅立つのだった。

彼らの目的は、拝金主義の象徴・金融街であり、金融街でドタバタとなる、という感じ。

 

アメリカの「モチーフ」ってのが、今一つわかりにくいけれど、なんとなくなるほど、と分かる気もしないでもない。

 The Crimson Permanent Assuranceは簡単な英語で作られたショートムービーなので、一見をおすすめ。