日々ぴこぴこ

TESとかFalloutとか、思ったことを淡々と。

需要と供給

中世ヨーロッパでは、水も食い物も腐っていた。すべてが、というわけではないけれど、基本的にヨーロッパという地域は、地理上の発見によって富を世界中から収奪するまでの間、飢えていたと考えていい。

 人々は数少ない食料品を備蓄するわけだが、よく腐った。腐っても食べなければ生きていけないから、腐った肉などは普通に食されていた。たぶん、その延長線上にチーズとか、発酵食品があるんじゃないかな、と思う。

 

 香辛料は、それ自体に防腐機能はないけれど、腐った肉も美味になる点で珍重された。香辛料の生産地はインド以東。ところが、ヨーロッパとインド以東との間に、十五世紀勃興するのがオスマントルコ帝国だ。彼らはお世辞にも、ヨーロッパに親和的な勢力ではなかった。

 オスマントルコと友好関係にあったのは、ヴェネツィアだけだった。のちにフランスもオスマントルコと友好関係になるが、これは帝国主義の勃興によってイギリス帝国主義と対峙するための外交革命であって、だいぶ後のことだ。

 ヨーロッパ人は、何とかしてインド以東から香辛料を輸入しなければならなくなる。そこで、地理上の発見の時代、いわば大航海時代が発生する。まさに、需要と供給の延長線上に、人々の冒険活劇が発生したのだ。

 

 Falloutシリーズ。それまで、非常にコアなファンを獲得してきたこのシリーズを激変させたのは、ベセスダだ。3によって彼らが創出したFalloutの世界は、行ってみればホラー要素の強いものだった。ただ、荒野を歩いているだけで恐怖を感じるようなシステム。人間が人間を「食料」として奪い合う世界。巨大化した害虫。人々の欲望のみ先鋭化した世界。まさに、ホラーだ。

 人々はその延長線上にある4に、同じ要素を求めた。ところが、出来上がった4はお世辞にも3と同じ世界とは思えない出来だった。文明は荒廃しきったわけではない。人々の欲求は、まるで核戦争より前、欲望より知性が優先されるような世界。まるで、石油が出なくなって荒廃したアメリカの地方都市を舞台にしたかのようなゲームに、多くのFallout3ファンは落胆した。

 しかし、それ以外の一般的なゲームファンは、これで十分満足した。商業的には、ベセスダは大成功を収めた。Fallout3のファンの声を無視しても、十分に利益を生むことができたのだ。彼らはコアゲームを生み出すために存在するのではない。もはや、企業として、構成する社員たちを生かすために存在する企業なのだ。だから、Fallout4は企業としてのベセスダにとって成功の金字塔に他ならないのだ。あれ、何か忘れてきたような気もするな、でもいいか。儲かるし。

 

需要と供給だ。