日々ぴこぴこ

TESとかFalloutとか、思ったことを淡々と。

リベルタリアのターミナル

ここの状況についてはわかりにくいよね。

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リベルタリアに不良人造人間を回収しにきた主人公は、ここでレイダーのターミナルを見る(見ない人もいる)。

で、ガブリエルという不良人造人間のターミナルだから、そこに書かれていることはガブリエルのことなんだーと思ってる人も多い。

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これはコマンドプロンプト風ですな。

最初にユーザー名をガブリエルに変更。その次に古いデータを消そうとしたが、「古いデータ」というパラメータをターミナルが理解できない。全ファイルもわからない。ヘルプコマンドを呼び出そうとするが、それもない。

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ここには、ガブリエルはターミナル言語が理解できないと書いているけど、理解できないんじゃなくて、この失敗だと、知っているターミナルと使い方が違うような気もする。

このコマンド失敗の結果残ったデータはだれのものか。

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はい、James Wireさんでした。

James Wireはクインシーの虐殺後、ミニットマンの残党を率いてここ、ナハントの海辺まで来た。この時点でリベルタリアができていたかは分からない。残骸が集まっていて、それを整備した可能性はあるね。

Jamesは当初、ミニットマンの残党らしく、傭兵稼業をやった。でもうまくいかなくて、キャップも適切に払ってもらえなかった(すくなくともJamesの言い分では)。バンカーヒルに食料を分けてくれるようお願いに言ったが無駄だった。そこで最終的にレイダーとなって、キャラバン襲撃を起こすようになった。

 

一方、ガブリエルという記憶に入れ替えられたB5-92は、おそらくメモリーデンで入れ替えられたのだろうが、その記憶が大変残忍で、レイダー向きの記憶だったみたいで、瞬く間にリベルタリアのレイダーを掌握する。Jamesはどうしたんだろう。たぶん殺されたんだろうね。

ガブリエルの驚異的な戦闘力、牽引力を前に、「なんちゃってレイダー」たちの頂点に立つことに成功する。

 

ところで、リベルタリアはすでに誰もが知っているとおり、海賊物語の一つ、マダガスカル周辺に建設されたとされる、海賊の自治地域のこと。

特に欧米では、海賊文化を美化したり、伝説を喧伝したりする傾向があって、その昇華の一つが各地に存在する海賊財宝物語だったりする。

マダガスカルをこの世の楽園と考える海賊は多い。インド洋や東南アジアからヨーロッパに戻る商船は必ず、マダガスカルや、アフリカ大陸との間のモザンビーク海峡を通過する。海賊たちにとっては最高の狩場であり、一方で早くから、海洋列強国家はこの周辺やインド洋に、強力な海軍を派遣する。

ところが、大航海時代の中盤まで、海軍と海賊は表裏一体で、例えば私掠許可証を得たイギリス人などは、特定の国家の商船軍艦を襲撃することを許されたが、思ったより稼げなければ、スポンサーから批判されたり罰金を科せられるので、「知らんかったんすよ」と言いながら自国船や同盟国船を襲うようになる。こうして海軍が海賊になるが、海賊たちは国の戦争になると、敏腕の海軍士官として国家に雇用される。国家が海軍というお金のかかる軍隊を持てなかったころの、旧弊というか弊害というか。

 

こうした、追討と契約、時に追われて時に追う生活に疲れ果てた海賊たちは、カリブやマダガスカル、東南アジアに海賊たちの自治国家を建設するようになる。その一つが、マダガスカルにいくつか残っている伝説だ。

こう考えると、本来コモンウェルスを護るために立ち上がったミニットマンが、コモンウェルスの人々との摩擦によってレイダー化し、レイダーの自由自治国家を建設するのときわめて似ていないか。

 

そして、インスティチュートの科学者たちの理解力が、とても低いことに驚かされる。ガブリエルはたしかに、レイルロードによってとんでもない記憶を植え付けられてしまった。人造人間はもともと白紙なのだから、植え付ける記憶に左右されるのは致し方ない。レイルロードはたしかに、もっと慎重を期すべきだった。

しかし、ガブリエルが自ら、リベルタリアを建設して、キャラバンを襲撃したんじゃない。リベルタリアは没落し、失望したミニットマンたちが建設したものであり、ガブリエルはそれを利用して乗っ取ったに過ぎない。

人造人間のガブリエル、B5‐92は工場出荷状態で戻った。しかし、彼の代わりはいくらでもいるのだ。新しい生身のレイダーがまた、リベルタリアを建設し、支配し、キャラバンたちは襲撃される。人造人間の回収は、すべての事態の本質的な解決には一切ならないのだ。レイダーが再生産される世界が続く限りは。