日々ぴこぴこ

TESとかFalloutとか、思ったことを淡々と。

ミード・酒・水

書くことがないので、うんちくを。

 

中世ヨーロッパではもっぱら、酒類しか飲み物がなかったことは一度書いた。

 

ヨーロッパでは新鮮な水というものが枯渇していた。疫病の原因にもなる、腐敗した水を飲む人はとても少なく、自然、喉が渇くと酒を飲んでいた。

大航海時代によってコーヒーや紅茶という日常的に飲める飲料が誕生すると、爆発的に発展する理由は、そういったノンアルコール飲料があまりにも少なかったからだ。

人々は、喉が渇くと酒を飲む。だから日常からすこしほろ酔いだった。

 

Skyrimの各都市には井戸がある。

サバイバル系Modでは、井戸で水をくむという方法で飲料調達を行うが、これは実はありえない。今日のヨーロッパでさえ、ありえない。いや、厳密には日本以外ではありえないといえる。

海外の人は、旅行に出向くと必ず水を買う。だから清潔な水は十分な商材として成立している。日本でも最近は水が一般的に買うものになりつつあるけれど、これは実は不要で、日本では水道水が飲める。

江戸時代以前の日本でも、井戸は万病の原因だった。だからみな、煮沸して飲む。日本には幸い、大陸から到来した茶の文化が古くからあるから、案外早くからノンアルコール飲料が存在した。

 

Skyrimの世界では、酒か水しか飲み物が存在しない。これは、茶の木やコーヒーの原料が存在しないからであって、ノンアルコール飲料が存在しないことを意味する。あらゆるところに転がっているゴブレットなどを見ればわかる通り、もっぱら多くの人々の飲み物は酒なのだ。

 

メイビン・ブラックブライアの財力の源である蜂蜜酒は、一見嗜好品のように思える。しかし、そうじゃない。一般的な飲料であり、必要不可欠な飲み物だった。いわば、ブラックブライアはSkyrim中の生活必需品を独占する、最も強力で強大な企業なのだ。

 

一方、中世ヨーロッパのように宗教と生活が密接不可分な世界観では、「酩酊している」状況はとても重要だった。酩酊している中で神とのつながりを実感し、神の降臨を確認する。人は、酒の力で宗教世界との強いつながりを実感する。酒は今日のように不貞な飲み物ではなく、神とのつながりを確認する、神聖な飲み物だった。

 

TESの世界ではエイドラもデイドラも実在する。ただ、タロスだけは実在する神として我々の前に姿を現すことは無い。

いずれにせよ、酩酊するということは神々との交信を意味する。酒は神聖にして不可侵なものだった。

また、エール(ビール)やワインのように複雑な製法を必要としないミードは、Skyrimのような世界観には適合している。エールやワインは製法が大変で、Oblivionでは巨大なブドウ畑とワイン工場があったように、いわば「企業」規模での製法が必要となる。Skyrimの地は北国すぎて、ブドウをプランテーション化することができなかったのだろう。蜂蜜酒が広範囲に受け入れられ、ブラックブライアが莫大な富を手にした原因は、ここにあるといっていいだろう。

 

そんなことを考えながら、リフテンを散策すると見方が少し変わるような気もする。