日々ぴこぴこ

TESとかFalloutとか、思ったことを淡々と。

オールナイトニッポン

物流企業に勤めています。

トラックに乗ったり、事務仕事したり、営業に出たり、色々しながら何年も、そこそこ大きな物流拠点で働いています。

ドライバーは、たいてい人付き合いが苦手な人が多いので、お客さんと戦ったりすることがあります。

接客業をやっていた経験から、こういう「炎上案件」が出た場合、どんな理由があってもそちらに行かなければなりません。しかも、鎮火するまでドライバーとして回らないと、お客さんのご機嫌が治りません。

物流センターのたいていは、24時間稼働です。

昔のトラックは、AMラジオしか娯楽はありませんでした。今はスマホやらタブレットやら、ラジオもワイドFM搭載トラックが増えていますね。ちなみに、大半のトラックにはカーナビはありません。だから、ほとんどのドライバーはいまだに地図を持ち歩くか、タブレットのカーナビです。少なくとも、うちと取引のあるトラックはそうです。

もう、ずいぶん昔になるかなあ。

納品を終えて帰るトラックで、何気なく、日ごろは付けないAMラジオを聞いてみようと思った。

年末、年の瀬だった。そうそう。

とたんに、ガラガラ声が叫んでいる。

「おかむらぁ、それだからダッメなぁんだよ、おめぇはよぉ!」

出川さんや!

続けて、岡村さんの声。

「なんや、お前、何年も嫁抱いてないんやろ!」

「俺はぁいいんだよぉ、お前のことを話してんだろうがよぉ!」

「もうやめなはれ、もうやめなはれ」

矢部さんや!

びっくりした。ナイナイのふたりって、こんな深夜にラジオしてんねや!

それ以来、仕事の日はトラックや営業車で、無い日は家でオールナイトニッポン(ANN)を聞くようになった。

聴いているうちに、岡村さんの「下衆い」部分と、矢部さんの「けっこうまとも」な部分が分かってきた。日ごろ、テレビで見る二人と違って、ラジオは二人の本質的な部分をえぐり出していた。岡村さんは天然ボケが多いこと、矢部さんはそれに時々、本気で唖然としていることも、ラジオを聴いているとわかった。

矢部さんが今の奥様と付き合うようになってから(ラジオでは「ビックハットさん」)、発言の方向性というか、なにか変わっていった。それに対して、岡村さんのあまりに幼稚で子供じみた発言が、聴いている方が赤くなるほどだった。二人の間で、精神年齢というのか、人生に対する考え方、人に対する考え方が変わっていっている。そういう、火花というか、確執というか、そういうものが聞いていて痛々しかった。実際、時々戦っていた。まあ、ラジオなのでお互い自制していたけれど。ラジオじゃなかったら殴り合いになっていたんだろうな。

 

岡村さんが「頭ぱっかーん」になって、テレビとラジオで復帰したとき、矢部さんは燃え尽きてしまった。聴いていて、それが痛いほどわかった。いつか、矢部さんがラジオから消えてしまうんじゃないか、と危惧するほど、二人の温度差を感じた。復帰回は泣いた。何度も聞いたけれど、泣いたなあ。こんなに泣けるラジオは生まれて初めてだった。また、出川さんの味もよかった。テレビでは出川さんが嫌いだったけれど、ラジオで一気に好きになった。

 

矢部さんがラジオから身を引いたとき、ラジオでのナイナイは熟成されすぎていて、もうこれ以上進む道がないような状況の時だった。少なくとも、僕にはそう感じられた。以来、岡村さんはヘビーリスナーでさえ、たじろぐほどの猪突猛進を始めた。音楽祭を開催したり、トークはストッパーの効かない暴走特急みたいだった。だから、いつかこういう炎上を引き起こす危険性を伴っていたんだ。でも、聴いているとき、僕は、一人になったから必死なんだろうな、「負けてたまるか」という気持ち、相方に裏切られたような気持ちなんだろうな、その気持ちの反発で暴走しているんだろうな、と思っていた。そもそも、いちリスナーに過ぎない自分には、それを止めることもできないのだ。

 

最近は、正直、昔の「ナイナイのANN」に比べて聴いていて、何か痛いというか、きついというか、そんな感じがあって岡村さんのANNを聴いていなかった。後で思ったけれど、これが矢部さんのいう「注意する人がいない」状態だったんだろうな。「いや、岡村さん、その企画はあかんと思うよ」「岡村さん、そのトークはあかんわ」という本当の「ツッコミ」が不在だったんだろうな。

 

今回の件で、突然岡村さんの人間性を批判したりする人がいる。でも、ヘビーリスナーなら岡村さんの人間性に、どこか奇妙なところがあることは誰でも知っているから、その批判は響かない。

それに、いつから岡村さんは聖人君主のように扱われているんだろう、と思った。そりゃ、チコちゃんの番組に出てるじゃないか、と言われるけれど、ヘビーリスナーからすれば、あの番組で岡村さんは学んでいる側、つまり視聴者の立場で参加しているようにしか見えない。岡村さん自身、「まあ、僕みたいなチンピラ芸人、なぁーんにもわかってませんから」というように、若くして成功した芸人さんである分、社会性が得られていない。たぶん、社会人としては小学生レベルなのだ。だって、40代になって初めて旅行チケットを予約したり、新幹線チケットを買ったとラジオで自慢するような人ですよ?そういう人が、問題発言することは織り込み済みで、むしろ、そういう人にフリートークさせている制作側にこそ問題がある。ある程度、手綱をもつ人が必要なんだけれど、岡村さんの人間性を攻撃する人は、そういうところが理解できていないような気がする。

 

もちろん、だからといって岡村さんの今回の発言内容が正当化されるわけじゃないけれど、批判している人には、

「じゃあお前、ナイナイのANNから聞いてみたんか?全問題発言リストアップしてみろよ?そもそも、そんなチンピラ芸人の岡村さんがNHKに出てること自体、大河に重要な役で出てること自体、ヘビーリスナーにしてみれば奇跡やねんで?」

と言いたい。