日々ぴこぴこ

TESとかFalloutとか、思ったことを淡々と。

うんざり。

ゲームブログにこういうネタを投下するのはどうかと思うけれど。

 

偉くなりたいというのは自由です。

偉くなりたいなら偉くなればいい。僕は偉くなりたくない。

 

偉くなるということはどういうことか。もちろん、給料が増える。立場が上になり、部下ができる。偉そうになる。もっと上を目指せば、給料も部下も増える。偉くなる。

でも、肝心なことが抜けている。偉くなり、上に登れば、その分多くの人の労働環境を整理整頓して、整備しなければならなくなる。じゃないと、会社が円滑に動かない。潤滑油だらけの会社なんて実在しない。会社というのはたいてい、軋む歯車の集団で、しかも中には動いていない歯車、動けない歯車、空回りしている歯車なんかがあって、細かに整備しなければ円滑に動かない。

偉くなると、そういうことに視野を広げ、どうすればよりよく、歯車がきちんと動くか考え、動かなければならない。

僕は、偉くなるということはそういうことだと思うし、偉い人がお給料を多くもらえるのは、そういう広い視野と行動力を認められているからこそだ、と信じる。

僕にはそんな視野も能力もないので、そもそも偉くなれないし、偉くなりたくない。

ヒラのドライバーや現場職で一生過ごしたいと何度も思っている。

悟り世代といわれる層が、悟って昇格したくないと言っているんじゃない。

 

例えば、ある仕事場では消耗品の発注担当が在庫管理や整理をしなければならないという不文律があった。

ある先輩社員は消耗品担当として、発注から整理整頓まで、すべて一人でやっていた。当然、世の中を知らない頃の僕は、それをすごいことだと思わなかった。ただ、時間外労働が多い人だったので、「消耗品担当だけはなりたくないなあ」とおぼろげにおもっていたが、見事担当者になって死ぬ思いをした。

しかし、おかげでこれまで、消耗品担当を黙って実直に進めていた先輩社員のすごさを知ったし、尊敬するようになった。当初から積極的にアドバイスを求めた。

先輩社員は文句ひとついわず、丁寧にアドバイスしてくれたし、細かな指導をしてくれた。徐々に、先輩社員のアドバイス無しで進められるようになったが、引き続き先輩社員への尊敬は変わらなかった。

そうやって、先輩の苦労している部分を知り、学び、アドバイスを求めて成長するのがいわゆる「社会人」だと思って生きてきた。

 

最近の若い人や、新しくついた部下にそういった面を見せると、たいてい「そういう仕事はしたくないですね」という。そりゃそうだ。自分もそうだったから。

定時で帰ってそれなりの収入を得て、家でゲーム三昧のほうがよっぽど生活は楽しい。

でも、そうはいかない。いやでもしなきゃならない。それが社会人だ。

次に消耗品担当を新入社員に引き継ぐことになった。結局、僕も彼と一緒に夜遅くまで残ることも増えたし、毎日管理監督しなければならなくなった。二か月くらいで、彼も独りで進められるようになって、ようやく僕も定時帰りできるようになった。

したくない連中にそういう仕事を託すという事は、一から十まで見守る必要がある、ということだ。託す側も託される側も、しばらくは拘束される。そういうものだし、そういう仕組みを学びながら社会人になじんでいくのだ。

 

うちの会社には、現場で何をやらせても優れている人間がいる。その人が、偉くなった。とたんに事務所にひきこもり、いつも事務員や他の管理職としゃべって過ごしている。

現場の苦労や努力を知っているはずなのに、偉くなった途端、汗をかくのも嫌がっている。そんなにおしゃべりが楽しいなら、そういう仕事を探したら?そう思う日が連日続いた。

自分は、何人もの後輩を、部下じゃないのに仕切り差配し、現場を回さなければならなくなった。事務所では夏はクーラー、冬は暖房の効いた部屋で、偉いさんと事務員が楽し気に過ごしているのを知りながら、汗だくになって、寒さに凍えながら、後輩の仕事を見守り、指導指示し、現場を回さなければならなかった。

ある時、いつ見ても偉いさんと楽しく過ごしている(ように、僕からは見える)事務員がとんでもない失敗をした。

その失敗のせいで、僕も同僚も2時間以上残業を強いられ、汗だくで後始末をしなければならなくなった。他の営業所にもずいぶん迷惑をかけたので、僕は方々に、それこそ土下座する勢いで謝り倒した。

落ち着いてから、僕はそれを指摘し、偉いさんや事務員を批判した。

すると、事務所のお偉いさん全員が事務員を守り、僕ら現場の人間を指弾した。

「そんなに事務員さんを怒ったらかわいそうだろ」

…かわいそう?こっちはその事務員のせいで、どれだけの苦労を強いられたと思っているのか。事務所の中の仲良しグループはそれで身内を守れたからよかったと思っているのかもしれない。でも、その事務員のせいで後輩が深夜まで働かされ、自分も残らなければならなかった事実は、会社を管理するべき管理職にとってどうでもいいの?

事務員を守ることさえできれば、それでいいの?

俺たち、現場の社員がどんな目にあっても、事務員が守られるべきなの?

現場の人間の血汗は、そんなに軽い物なの?

 

もう、本当にうんざり。

でも、僕には守るべき家族がいる。