日々ぴこぴこ

TESとかFalloutとか、思ったことを淡々と。

Automatron ロボブレイン製造工場

ジェゼベルの導くまま、ロブコ・セールス&サービスセンターを訪れることで、短いAutomatronクエストも終わる。

ところで、ロブコ・インダストリー社(ロブコ)とゼネラル・アトミックス・インターナショナル(GAI)の違いというのが、今一つわからないままクエストを進めてきたことに、今更気づいた。ので、整理してみる。

 

ロブコはRobCoと書き、そのままロボット工学とコンピューターの最大手。製造したものは、Pip-boyやTerminal、ステルスボーイをはじめ、ロボットでは、プロテクトロン、アイボット、セントリーボット、アサルトロンなどを製造した。見てわかる通り、軍需企業といってよくて、軍隊とベタベタ。

 

一方のGAIの代表作はMr.ハンディ。家庭用として活躍し、女性型としてmissナニー、軍事用としてMr.ガッツィがいる。

このように、ロブコとGAIとは企業として顧客ターゲットが明確に分けられている。ロブコが企業や国相手に生産・保安・軍事的用途を開発していたのに対して、GAIは一般顧客に対して、家電製品のようにロボットを販売していた。

 

ボストン空港そばにある、ロブコ・セールス&サービスセンターは、陸軍管轄にあり、そこのターミナルを読むと、一定時期から軍部直轄の管理下に置かれたことがわかる。そして地下工場では、人間の脳を取り出し、ロボットに植え付けて使用する、ロボブレインが生産されていた。

取り出される人間の脳は、民間刑務所から無作為に選ばれた人々であり、重犯者・社会的に下層の人々を対象としていた。

 

 

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一番最下層、メカニストと対峙する前に訪れる研究所。下を走っているレールにそって、部屋を一つづつ見て回ろう。まず、「Cerebral Reconditioning」脳の再調整、という意味かな?

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看板から、まだ脳みそは取り出さない。まだ生きているであろう、被験者の頭蓋骨に残っている脳みそに、再調整用の何らかの外科措置を講じていたと考えられる。

 

そして、なぜか次の部屋で行われる脳みそ抽出担当者のターミナルがある。これを見る限り、想定を上回る稼働率、頭蓋骨の硬さや脊髄への適切な措置を施さないまま、力業で脳みそを取り出そうとして、アームが故障する、といったむちゃくちゃな様子が見て取れる。

過労気味であったからだろうが、ここでのバカ騒ぎは驚嘆余りある。脳みそを半ば固定するために用いた、生物ゲルに、ザクロシロップのグレナディン・シロップとウォッカをまぜ、みんなで痛飲する。同僚の誕生日に、本物の脳みそをフロスティング(糖衣)で覆っただけのケーキを送る(もちろん食べた)。

一方で、倫理観に苛まされる場面もある。遺体の残った部分を火炉に投げ込む仕事をしている人が悩んでいたり、脳みそを引き抜く作業を苦に思ったことがないのか、と問いかけられたなどのエピソードも記載されている。

 

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この看板が、脳みそ抽出。

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ここで抽出された脳みそは、生物ゲル(脳みそを入れる時点ではゲルじゃなくて液体だと思うけど)に安定的に固定され、保管される。

ここに、「脳抽出」担当のアニス・ソロレッティ主任科学者用ターミナルが残る。彼女は様々な脳に語り掛けるが、そこではあらゆる記憶を適切に削除し、かつ精神的に安定し、むしろアニスなどに敵意むき出しの、いわば軍需利用可能な脳みそを探し求めていたことが明らかになる。それ以外の、たとえば以前の記憶削除が不徹底な脳みそ、自分の体が失われたことを知り精神的動揺をきたす脳みそなどは、火炉に廃棄していたと思われる。

 

 

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ロボブレインのR&D、つまり調査研究。

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ここんは脳みそではなく、グール化された遺体が見える。何に用いていたのかは不明。

 

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三つの部屋を出たところ、右手の奥に火炉。遺体を処分していたところ。目の前に膨大な数の脳みそと、その保管スペース。

 

 

たしかに、人間の脳みそを取り出し、ロボットに移植するという考えは狂っているのだが、そもそも戦時下において正常な考えって何だろう、と思う。おそらく、ここで働く軍人は、戦時下国内で犯罪を犯すような「非国民」なんて、切り刻んで戦場で戦うロボットの一片となるほうがよほど「愛国者」になれると思っただろうし、ここで働く人々も、いずれは戦場に駆り出されて死ぬが、この軍事研究に関与し続けるかぎり、平和な国内で生活し続けることができた。犯罪者の再利用、いわば愛国者的活用という研究のおかげで、彼らは戦場に出て死ぬ可能性を減じられるわけだから、恒久的に研究が続けばいいなあ、と思っていたはずだ。

また、重厚なセキュリティ下の、日も差さない地下に閉じ込められている限り、一般的な倫理観なんて数日で吹っ飛ぶだろう。犯罪者の脳みそなんて、破壊したり同僚に食わせてもいいだろう、なんていう考えに至らないと、だれが自信をもって言えるだろう。

 

Falloutの世界観は、まず地球上から文明が焼き払われるほどの核戦争によって形成されていることを念頭に置いて理解しなければならない。平和で倫理観に満ち溢れた世界が、突如一変したのではなくて、そもそも2077年の世界は狂っていた。果てることのない戦争が生み出す膨大な消費と消耗の、いつ自分がその一片のピースとなるか分からないほど、異常な緊迫感と緊張感に追い詰められた状況下だったのだ。

 

犯罪者の脳みそを愛国者的な「有効活用」するという発想は、生き物としての道を違えていることは間違いないにしても、そういう思考回路を持つことは、決して突飛でも異常でもなくて、むしろ自然に思えるのだ。