日々ぴこぴこ

TESとかFalloutとか、思ったことを淡々と。

銀河英雄伝説の世界の爵位と領地と階級

今回もゲームと全く関係のないお話です。

銀河英雄伝説 Die Neue These」を見てます。

銀河帝国において、ゴールデンバウム王朝がローエングラム王朝によって取って代わられ、さらに辺境に独立した自由惑星同盟を征服する物語です。簡単に言うと。

これは、漢王朝魏王朝に取って代わられた歴史に似ています。この場合、魏王朝はローエングラム王朝、蜀漢王朝は漢王朝の後継政権なので、自由惑星同盟と銀河連邦の関係に似ています。

さて、銀河連邦を古風な絶対帝政の銀河帝国に変貌させた初代ゴールデンバウム王朝皇帝は、社会をドイツ風に改造し、功臣たちを貴族に取り立てます。その際の貴族制度は、若干日本の貴族制度に似ているように思います。

というのも、日本の明治貴族階級制度は、最初に階級を定めて置き、それまでの江戸時代における身分に応じて階級の爵位を与える、という形式を取ったため、それぞれの爵位は階級を意味するだけのものでした。近代国家として当たり前ではありますが、一切領地もなく、領地とのつながりもありません。

一方、ヨーロッパの貴族制度は、皇帝権力に直属し、皇帝直轄領を編成した所領の管理を行い、時として転勤もあり得る爵位と、周辺地域の開拓以来、領地に太く根付く豪族の権限を、皇帝が後追いで認める代わりに与えられる爵位など、多様性に富んでいました。

人類が現代民主制度を経て、再度貴族制度に支えられた絶対君主制に逆行したという歴史なので、爵位が貴族の階級を意味する、日本的な爵位制度がゴールデンバウム王朝に普及したという理解は妥当性があります。

ただ、ゴールデンバウム王朝の藩屏たる貴族たちの中にも、描かれ方が大きく異なるものがあります。例えば、ブラウンシュヴァイク家などの古来からの有力貴族、マリーンドルフ伯のような中級貴族も、所領が描かれます。ところが、新興のローエングラム家は、古来からの名家という設定ではありますが、領地が描かれません。主人公のひとり、ラインハルト・フォン・ローエングラム、その名はいわば「ローエングラムという領地の貴族・ラインハルト」というべき呼称ですが、その領地が描かれません。ラインハルトが領地経営をしているという想像は難しいですし、存在していても、家令組織に経営をゆだねているのかもしれません。いずれにせよ、ラインハルトがローエングラム家領から収入を得て、生活しているという風には描かれません。かなりの極位に至るまで、彼はキルヒアイスと共に老女の経営する下宿に住んでいたといいますから。通常、爵位を得ると王朝から邸宅を与えられ、そこには王朝から支給された家令が常勤するものですが、ラインハルトの生来の、そうしたことを嫌い疎む性格も影響して、彼のそうした生活の描写は見られませんね。妻となるマリーンドルフ女伯には、ユニークで魅力的な家令組織が存在しますが、むしろあれが貴族の普通の景色です。

ただ、この領地の描かれ方が大変重要です。

ブラウンシュヴァイク家をはじめとした、門閥貴族たちには固有の武力と所得があります。集結すれば、帝国軍の正規兵を掌握するラインハルトを上回るほどの、強力な「私兵」と、それを養う「私領」があるわけです。どうも、ブラウンシュヴァイクなどは、明確な帝国の役職を得ていないように見られますので、所得は所領からのみ、となります。惑星数個を所有しているということでしょうか。

さらに、彼らに雇われる「私兵」には、銀河帝国軍の正規兵と同等の階級が与えられます。ただ、これは私兵集団を運営するにあたって、その予算を国家からも支出させるための仕組みかもしれない。いかに門閥貴族といえども、艦隊や軍隊を経営するには莫大な予算がいりますし、軍人育成にも費用と経験が必要です。正規兵としての教育を受けた兵士たちに対して、貴族私兵集団から勧誘があるのかもしれませんね。

その点、日本の中世貴族社会に似ている。摂関家五摂家は、私的な家産組織と小規模な軍事力を保有していました。その財源は莫大な荘園にありますが、家来集団の多くが主家と国家に両属していました。下級役人ほど、国家からの役職俸給だけでは生きていけないことから、摂関家などに奉仕することで副業とし、俸給を得ていたわけです。

たぶんですが、ゴールデンバウム王朝正規軍は、そのまま正規軍兵士として生きていく道と、門閥貴族に奉仕して生きていく、二つの道があった。ともに、俸給はゴールデンバウム王朝の軍事予算から出されていたが、門閥貴族に属する利点は、正規兵にはない「出世のチャンス」と、門閥貴族に庇護される特典。それに対して、特定の門閥貴族に属することによって巻き込まれる抗争、正規兵集団内での昇進途絶(政治的私兵なので、艦隊司令官などの道は立たれる)などでしょう。いずれにせよ、門閥貴族はゴールデンバウム王朝を食い物にして、私兵集団を育成していたという仮定が成り立ちます。

門閥貴族は、私領を得て国家の軍隊を私兵集団のように部分掌握し、その予算すらも国家予算を食いつぶしていたとするならば、リップシュタット戦役後の、ローエングラム家に傀儡化されたゴールデンバウム王朝の予算は劇的によくなるわけですから、こうした理解が蓋然性が高いと思います。

対するローエングラム家は、帝国軍の中枢を掌握することによって、銀河帝国そのものを強奪する形で権勢を掌握します。リップシュタット戦役は、ゴールデンバウム王朝の内実を掌握して傀儡化したローエングラム家と、旧来からゴールデンバウム王朝を食い物にして私腹を肥やした門閥貴族の戦いという、ともにゴールデンバウム王朝に権力の源泉をもつ双方の戦いということになります。

 

さて、その中でのゴールデンバウム王朝における爵位制度というのは、貴族としての格を意味するのであって、古来ヨーロッパにおける所領と爵位の関係性には全く近くない形式であると思われます。つまり、ブラウンシュヴァイク家はブラウンシュヴァイクという惑星や星系を支配しているのではなく、ブラウンシュヴァイク家という家名と、所領群を擁する貴族ということになります。これがなにが重要なのかというと、例えばヨーロッパ貴族爵位は所領が大きく拡大したり、基幹となる所領が変われば、家名が変わり、爵位も変わっていたのが、ゴールデンバウム王朝ではそうではない、ということです。ブラウンシュヴァイク公爵家は、ブラウンシュヴァイク公爵領を掌握しているからではなく、どのような所領構成であれ、ゴールデンバウム王朝が続く限りブラウンシュヴァイク公爵家であり続ける、と。

こうなると、貴族爵位は単なる階級である、日本明治貴族制度と酷似してきます。明治貴族制度には所領制度はありません。爵位は階級を示すだけであり、公爵というのは明治元勲か上流貴族ばかりでした。爵位が単なる階級を意味するのであれば、リッテンハイム侯爵が、侯爵に陞爵した際「爵位が並ばれたと思うと吐き気がするわ!」と述べたのも理解できます。彼らにとって爵位は、軍隊における階級のようなもので、階級を意味していた。名もなき名ばかり貴族だったラインハルトは、ミューゼル家からローエングラム家を襲封し、伯爵から侯爵に昇進したわけで、リッテンハイム家がどれくらい苦労したのかしりませんが、何代かかけて侯爵になったのに、ラインハルトは20代でその侯爵になった。悔しかったでしょうなあ。

公爵になると、皇族王族の近親者であると名実ともに認められたことになります。リッテンハイムもブラウンシュヴァイク同様、皇帝から皇女を降嫁されていますので、皇族に入っています。公爵でもおかしくないですが、所領規模やらなんやら、公爵になる資格が足りなかったのか。ゴールデンバウム王朝において、公爵になる資格が規定されていたのかもしれませんね。

TESの世界でも爵位のことを何度か考察しました。

仮想世界であろうとなんであろうと、社会の基幹となる爵位制度、階級制度というものは、しっかり理解すると作品をさらに深掘りして楽しめると思います。

ラインハルトは最後まで、ゴールデンバウム王朝を食い物にする貴族制度ではなく、王朝そのものを奪取する形にこだわって、ローエングラム王朝を開いた。ゴールデンバウム王朝に巣食う門閥貴族は、最後まで、門閥貴族の枠を超えられなかったわけです。

蜃気楼の連邦

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「ショーン、例え連邦が死に、未来がないようにお前たちに思えていても、あの街ではそれを現実として、未来を夢見て生きている人々がいる。

それとも、地下で安全に守られながら生きるお前たちには、その人達すらも死に、未来がないように見えるのか」

 

そんなセリフの選択肢が欲しかったです。

 

Twitterのプロフィールを初めて更新した。

画像をいつまでもSkyrimとFallout4ばっかりだったので、今回は『一遍上人伝絵巻』から。

元々、大学時代に歴史学研究を志していたこともあって、この絵巻には強い思い入れがあります。

一遍上人といえば「踊念仏」。

この場面は、絵巻のなかでもクライマックス、京都市屋道場で弟子と共に踊り狂う一遍上人です。

踊念仏は踊りながら念仏を唱えることで、今風にいえば「トランス状態」に入っていく儀式みたいですね。当時の布教活動には、こうした演出面を強化したものも多く、また、たとえ日本が世界的にみても識字率の高い地域だったにせよ、説法を行うよりもより安易で分かり易い仏教哲学の布教を行う上では、こうした演出が効果的だったと思います。

一遍上人の絵伝で最も注目されているのが、市場での場面です。

福岡の市、現在の岡山県長船町福岡にあった市場で、あまりに栄えていたので、後年黒田官兵衛が北九州の城下町に同じ名前を付けたほどでした。

ここに、一遍上人に挑みかかる武士三人が描かれているのですが、一人、酒を飲んでいる武士がいます。その人の絵は書き換えられていて、元々は弓箭を帯びていた、つまり戦闘態勢にあったのですが、なぜか酒を飲む姿に変えられている。ここから、市場には平和の理論があって、市場に武装して入ることは許されなかったはずだ、という理解が為されています。本当のところは分かりません。もしかしたら、一遍上人にむけて弓箭を携える武士を描くことが、信者にとって不敬にあたるから、かもしれませんしね。

いずれにせよ、この時代の絵巻には古文書で知ることのできない風俗や通念を読み解くことが出来るので、いくら眺めていても飽きません。

 

なんとなく、昔のことを思い返しながら、扉絵を変えてみました。

Nexus Modsのページのみかた

NexusModsはベセスダゲーム系Modの主だった(というかほとんど独占的な)ページ。

当然ながら全部英語ページなので、苦手意識が強いですよね。

ゴールデンウィークという名の自粛引きこもり週間の前に、本来ならばアップしたかったのですが、中の人がゴールデンウィークもStayHomeもなかったので、作る時間がなかったです。

ということで、いまさらです。

 

題材は、最近再インストールした、

www.nexusmods.com

です。

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Modの名前の下。

Endorsementsは支持、推薦する人の数。

Unique DLsはユニークダウンロード数。実際のダウンロード人数と考えていい。
Total DLsはそのまま。バージョンアップの度に再ダウンロードしますから、ユニークダウンロード数×バージョンアップ回数までは想定できるよね。
Total viewsはページを見た回数。
VersionはModのバージョン。
 
薄紫背景の白文字のところ。
ADD MEDIAはユーザーが画像などを追加するときの機能。
TRACKを押すと、ログインしているユーザー名でトラックしていることになる。
ENDORSEは推薦・支持する。
VOTEはいわば「月間Mod賞」みたいなものにランキングする上での投票。
その右はDownloadの選択。VORTEXかMANUALを選べる。
 

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画像欄の下。すでに選択されているTAGに加えて、新たに加えるTAGをユーザーが選べる。
次。
DESCRIPTIONは概要。MODページの概要。
FILESはダウンロードページです。
IMAGESはイメージ。画像が貼られています。
VIDEOSは同じ。
DOCSはドキュメント。DESCRIPTIONの中でも、読むべき個所が貼られている。
POSTSはいわば、ユーザーとMods作者の意見交換の場所ね。バージョンによっての不具合や問題点があると、たいていユーザーからPOSTがある。よく作者から回答のPOSTがあるけれど、場合によっては他のユーザーが作者に代わって回答したりする。「いいからDESCRIPTIONを読めよ!」という罵声を浴びる場合もある。
BUGSはバグ履歴。作者が投稿する場合もあれば、ユーザーもある。
LOGSはバージョンアップの度に内容を作者が投稿する場合がある。
STATSは統計なんだけれど、押した方がはやい。グラフで様々なデータが統計としてアップされる。
 

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DESCRIPTIONの内容。
ABOUT THIS MOD以下に、作者記述によるMod解説文が書かれる。結構重要。
「makes more stuff growable with hearthfire homes. dont like that? here chew on this jarrin root i grew....」
ハースフィアで追加された家で、元々より多くの作物を育てられます。苦手?さて、これから私が育てたジャリンの根を噛もうかと…なかなか、面白い解説文。
 
Requirementsは必要となる、あるいはこのModが必要となるModの一覧。
このModに限って言えば、前提となる必須Modはないそうです。
逆に、このModを必要としているMod一覧には、都合5個見られます。
そのうち、Food and Drink に関してはそのModの「Extended」バージョンでのみ必要となります。それ以外は、パッチですね。Beyond Skyrimでは要するに、ブルーマでのこのModの適用のためのパッチとなります。
 

Nests

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次のPermissions and creditsはそのまま。Mod作者によるThanks Toのようなもの。SSEのModだと、多くはSkyrimでのModをSE用にアップロードする際、原作者の許可を得て他のユーザーが行われることが多い。実はFalloutシリーズでもこれは多い。原作者をたどれない場合もあるみたいだけれど。

 

Donation Points systemについては、

www.gamespark.jpこちらを。

次の「this is~」は、原作者numberland氏のModをコンバートしただけです。僕は自分で育てたニルンルートが好きなんだよね、と謙遜気味に書かれてる。

「I AM NOT THE ORIGINAL~」は僕がこのオリジナル作者じゃない、と再度。

 

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INSTALLATIONはインストール。

モッドマネージャーでの導入か、ダウンロードしたデータをDATAフォルダに入れてください、とあります。

「COMPATIBILITY: 」からの記述。このModはハースフィアやレイクビュー邸などに追加されるModと互換性がある。ただし、必ずそのModの後に読み込ませること。

 

ABOUT THE MODは飛ばします。

「Since many of these~」は、ハースフィアで追加される邸宅の、建設現場にある宝箱にすべての種が3つずつ入っているとのこと。

「Simple Version~」はシンプルバージョンを追加したけれど、新しい種類の種は追加せず、ただ、育てるだけというバージョンの説明。

 

「This mod~」はSkyrimSEEditでクリーンにしています、という説明。

 

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育てられる材料の説明。元々のゲームでの種。次に新しいメッシュ。ジャリンの根がありますな(ニチャア

DLCドラゴンボーンの種。

Nestsは巣。あれ、このModで巣で作れる卵あるのか?

次。原作者の方からのコメント。

 

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バージョン情報。
最新の1.5の説明文は興味深い。単なるバージョンアップではなく、新しいESPなので、既存のパッチは不要ですよ、とある。これでパッチだけ残してしまうと、不具合がたいてい出ます。また、日本語化する際にパッチ側がたいてい後で読み込まれるので、パッチ対象の名詞だけが英語になったりします。
 
こんなところですかね。
別にネイティブじゃなくてもわかる内容になっています。Google先生に頼りながら、一度簡単なものから読んでみましょう。
 

 

スカイリムの北限が不毛ではなかった可能性について

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ウインターホールド周辺のノルド遺跡などを見て回ると、奇妙なことに気づく。

一枚目の写真。マンモスがドゥーマーに襲撃されている。ところが、襲撃されている最中に凍結してしまったような様子だ。

例えば、スカイリムのウィンターホールドを襲った大崩壊の余波かな?と推測される可能性もあるけれど、大崩壊は第4紀122年。ドゥーマーの消滅は第1紀で、まったく時期が合わない。

二枚目の写真も同様。古代ノルドの遺跡。明らかに建造されたあと、崩壊しつつ凍結を迎えている。逆に言えば、遺跡内に浸透した海水などの水分が、凍結によって徐々に肥大化したことで、古代ノルド遺跡が崩壊しつつある、という経過が読み取れる。

 

おそらく、スカイリム北部は元々、寒冷地であってもせいぜいヘリヤーケンくらいの、薄い雪が積もる程度だったんだろう。第1紀、この周辺ではマンモスを追って、ドゥーマーが駆ける大地だった。古代ノルドの遺跡もそびえ立っていた。

 

マンモスが急速に凍結したことを考えると、この地域に突如として何らかの気候変動が起きた。襲撃されたマンモスはそのまま凍結され、ドゥーマーも消滅した。もしかしたら?ドゥーマーが消滅したレッドマウンテンの戦い直後、チャイマーがダンマー化し、レッドマウンテンが噴火し、大きな気候変動が起きた。

もしかしたら、このマンモスは、その最中にドゥーマーの狩りに追い立てられていて、その最中にレッドマウンテンが噴火したのかもしれない。

 

すくなくとも、当初スカイリム北部は比較的温暖な地域だった。

人為的(?)な、急激かつ大きな気候変動によって寒冷地化した。

レッドマウンテンの噴火という出来事が、仮にスカイリムに何らかの気候変動を与えていたと仮定するならば、第4紀初頭の「赤い年」のレッドマウンテン噴火も、ウィンターホールドの寒冷化を促進してしまったのではないか。

ちなみに、ロンドンの位置は北緯51度線、日本周辺だと樺太になる。中学校の授業で学んだ通り、ロンドンがなぜ温暖なのかといえば、季節風。温暖な風がブリテン全域に流れ込むから、樺太と同じ緯度でも温暖で、穀倉地帯もある。

スカイリムでも、同じ緯度のソリチュードとウィンターホールドはかなり景色が異なる。さらに南のウィンドヘルムはやはり、寒冷地だ。おそらく、ソリチュードには季節風が届いているのだろう。

季節風は元々、ウィンドヘルムやウィンターホールドにも届いていた。ところが、レッドマウンテンの噴火で風が南遷した。

等々、想像を膨らませる遺跡の風景である。

 

 

オールナイトニッポン

物流企業に勤めています。

トラックに乗ったり、事務仕事したり、営業に出たり、色々しながら何年も、そこそこ大きな物流拠点で働いています。

ドライバーは、たいてい人付き合いが苦手な人が多いので、お客さんと戦ったりすることがあります。

接客業をやっていた経験から、こういう「炎上案件」が出た場合、どんな理由があってもそちらに行かなければなりません。しかも、鎮火するまでドライバーとして回らないと、お客さんのご機嫌が治りません。

物流センターのたいていは、24時間稼働です。

昔のトラックは、AMラジオしか娯楽はありませんでした。今はスマホやらタブレットやら、ラジオもワイドFM搭載トラックが増えていますね。ちなみに、大半のトラックにはカーナビはありません。だから、ほとんどのドライバーはいまだに地図を持ち歩くか、タブレットのカーナビです。少なくとも、うちと取引のあるトラックはそうです。

もう、ずいぶん昔になるかなあ。

納品を終えて帰るトラックで、何気なく、日ごろは付けないAMラジオを聞いてみようと思った。

年末、年の瀬だった。そうそう。

とたんに、ガラガラ声が叫んでいる。

「おかむらぁ、それだからダッメなぁんだよ、おめぇはよぉ!」

出川さんや!

続けて、岡村さんの声。

「なんや、お前、何年も嫁抱いてないんやろ!」

「俺はぁいいんだよぉ、お前のことを話してんだろうがよぉ!」

「もうやめなはれ、もうやめなはれ」

矢部さんや!

びっくりした。ナイナイのふたりって、こんな深夜にラジオしてんねや!

それ以来、仕事の日はトラックや営業車で、無い日は家でオールナイトニッポン(ANN)を聞くようになった。

聴いているうちに、岡村さんの「下衆い」部分と、矢部さんの「けっこうまとも」な部分が分かってきた。日ごろ、テレビで見る二人と違って、ラジオは二人の本質的な部分をえぐり出していた。岡村さんは天然ボケが多いこと、矢部さんはそれに時々、本気で唖然としていることも、ラジオを聴いているとわかった。

矢部さんが今の奥様と付き合うようになってから(ラジオでは「ビックハットさん」)、発言の方向性というか、なにか変わっていった。それに対して、岡村さんのあまりに幼稚で子供じみた発言が、聴いている方が赤くなるほどだった。二人の間で、精神年齢というのか、人生に対する考え方、人に対する考え方が変わっていっている。そういう、火花というか、確執というか、そういうものが聞いていて痛々しかった。実際、時々戦っていた。まあ、ラジオなのでお互い自制していたけれど。ラジオじゃなかったら殴り合いになっていたんだろうな。

 

岡村さんが「頭ぱっかーん」になって、テレビとラジオで復帰したとき、矢部さんは燃え尽きてしまった。聴いていて、それが痛いほどわかった。いつか、矢部さんがラジオから消えてしまうんじゃないか、と危惧するほど、二人の温度差を感じた。復帰回は泣いた。何度も聞いたけれど、泣いたなあ。こんなに泣けるラジオは生まれて初めてだった。また、出川さんの味もよかった。テレビでは出川さんが嫌いだったけれど、ラジオで一気に好きになった。

 

矢部さんがラジオから身を引いたとき、ラジオでのナイナイは熟成されすぎていて、もうこれ以上進む道がないような状況の時だった。少なくとも、僕にはそう感じられた。以来、岡村さんはヘビーリスナーでさえ、たじろぐほどの猪突猛進を始めた。音楽祭を開催したり、トークはストッパーの効かない暴走特急みたいだった。だから、いつかこういう炎上を引き起こす危険性を伴っていたんだ。でも、聴いているとき、僕は、一人になったから必死なんだろうな、「負けてたまるか」という気持ち、相方に裏切られたような気持ちなんだろうな、その気持ちの反発で暴走しているんだろうな、と思っていた。そもそも、いちリスナーに過ぎない自分には、それを止めることもできないのだ。

 

最近は、正直、昔の「ナイナイのANN」に比べて聴いていて、何か痛いというか、きついというか、そんな感じがあって岡村さんのANNを聴いていなかった。後で思ったけれど、これが矢部さんのいう「注意する人がいない」状態だったんだろうな。「いや、岡村さん、その企画はあかんと思うよ」「岡村さん、そのトークはあかんわ」という本当の「ツッコミ」が不在だったんだろうな。

 

今回の件で、突然岡村さんの人間性を批判したりする人がいる。でも、ヘビーリスナーなら岡村さんの人間性に、どこか奇妙なところがあることは誰でも知っているから、その批判は響かない。

それに、いつから岡村さんは聖人君主のように扱われているんだろう、と思った。そりゃ、チコちゃんの番組に出てるじゃないか、と言われるけれど、ヘビーリスナーからすれば、あの番組で岡村さんは学んでいる側、つまり視聴者の立場で参加しているようにしか見えない。岡村さん自身、「まあ、僕みたいなチンピラ芸人、なぁーんにもわかってませんから」というように、若くして成功した芸人さんである分、社会性が得られていない。たぶん、社会人としては小学生レベルなのだ。だって、40代になって初めて旅行チケットを予約したり、新幹線チケットを買ったとラジオで自慢するような人ですよ?そういう人が、問題発言することは織り込み済みで、むしろ、そういう人にフリートークさせている制作側にこそ問題がある。ある程度、手綱をもつ人が必要なんだけれど、岡村さんの人間性を攻撃する人は、そういうところが理解できていないような気がする。

 

もちろん、だからといって岡村さんの今回の発言内容が正当化されるわけじゃないけれど、批判している人には、

「じゃあお前、ナイナイのANNから聞いてみたんか?全問題発言リストアップしてみろよ?そもそも、そんなチンピラ芸人の岡村さんがNHKに出てること自体、大河に重要な役で出てること自体、ヘビーリスナーにしてみれば奇跡やねんで?」

と言いたい。

フォースウォーン

forswornはforswearの過去分詞です。forswearは「誓って否定する」という意味合いです。これを過去分詞にすれば、「誓って否定してきた」というようなニュアンスかと思います。いってみれば、フォースウォーンたちは現状を受け入れてきた、というノルドの主張に対して、これを誓って否定してきたということになる。

 

elderscrolls.fandom.com

ここでは、フォースウォーンとマルカルス、ノルドのウルフリック・ストームクロークの三つ巴の戦いの頃、自発的にか多発的にかは不明だが、彼らがフォースウォーンという呼び名を受け入れてきたとある。実は、最近の名称なんですね。

 

では、フォースウォーンとは何者か。

話は彼らの拠点、リーチの形成にさかのぼります。

スカイリムの西端、リーチ。首府たるマルカルスはドゥーマーの古代都市を再利用されており、三方を険しい山に囲まれた天然の要塞となっている。

ドゥーマーが突如、姿を消したのち、破竹の勢いでタムリエル各地に進出するノルドたちは、当然ながらリーチを支配した。実際、マルカルスよりもさらに奥まったところまで、古代ノルドの遺跡が点在している。

ところが、リーチは地勢上、隣接するハイロックとの浅からぬ因縁がある。

いわゆるリーチ人「リーチメン」と呼ばれる種族は、ハイロックの主たるブレトンの分派で形成されている。ブレトンは人間とエルフの混血であり、本来ならばハイロックに分布するべきブレトンの、いわば異端的な人々がリーチに移り住み、本拠地とした。だから、彼らはブレトンなんだけれども「リーチメン」として、リーチの原住人とされる。

 

よく勘違いされるが、このリーチメンの中でも、古代からの文化と宗教を継承し、ノルドたちの支配を受け入れない分派ともいえる存在が「フォースウォーン」であって、リーチメン全体がフォースウォーンなのではない。マルカルスの労働者階級は非常に困窮した生活を送っているが、身なりや宗教文化はすっかり、ノルド文化を受け入れている。彼らはリーチメンの穏健派。

一方、これを徹底して受け入れず、古代から続くリーチメン本来の文化や宗教を守り伝えているのが「フォースウォーン」。だから、彼らは自分たち以外の種族を認めない。リーチはフォースウォーンの支配する土地なので、他の種族が入ってくることを認めないのだ。

 

シロディールの帝国がオブリビオン動乱(TES4)によって支配力を弛緩させていく中で、その根幹ともいうべきノルドの支配力も低下していく。中でも、大戦にはスカイリム中から文字通り根こそぎ動員によってシロディールや帝都での戦闘に駆り出されたこともあり、スカイリムの支配が大きく揺らいでいた。

リーチメンの強硬派ともいうべきフォースウォーンはこの機会を見逃さなかった。彼らは一斉蜂起し、リーチを奪還した。

しかし、その支配は長く続かなかった。帝都で捕虜となり、その後釈放されたウルフリック・ストームクロークが志願兵たちを引き連れてマルカルスを奪還した。

まあ、フォースウォーンの身なりを見てれば、このあたりは理解できる。マルカルスの人々にとっても、「もう第4紀だぜ?なのにあんな恰好の連中を?」と思うのも無理ないし、彼らの支持をフォースウォーンが得られるとは到底思えない。

こうして、フォースウォーンはリーチ各地に潜伏し、ゲリラ戦を開始する。ノルド政権である現マルカルスの首長に対して散発的な抵抗をし、彼らの支配を動揺させて、再び一斉蜂起の機会を狙っている。ということになる。

もちろん、今は穏健派のリーチメンたちも、ノルドとの対立関係が成立すれば、フォースウォーンに身を投じることだってあるだろう。そういう、非常に微妙な政治情勢にあるのがリーチなのだ。