日々ぴこぴこ

TESとかFalloutとか、思ったことを淡々と。

フォースウォーン

forswornはforswearの過去分詞です。forswearは「誓って否定する」という意味合いです。これを過去分詞にすれば、「誓って否定してきた」というようなニュアンスかと思います。いってみれば、フォースウォーンたちは現状を受け入れてきた、というノルドの主張に対して、これを誓って否定してきたということになる。

 

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ここでは、フォースウォーンとマルカルス、ノルドのウルフリック・ストームクロークの三つ巴の戦いの頃、自発的にか多発的にかは不明だが、彼らがフォースウォーンという呼び名を受け入れてきたとある。実は、最近の名称なんですね。

 

では、フォースウォーンとは何者か。

話は彼らの拠点、リーチの形成にさかのぼります。

スカイリムの西端、リーチ。首府たるマルカルスはドゥーマーの古代都市を再利用されており、三方を険しい山に囲まれた天然の要塞となっている。

ドゥーマーが突如、姿を消したのち、破竹の勢いでタムリエル各地に進出するノルドたちは、当然ながらリーチを支配した。実際、マルカルスよりもさらに奥まったところまで、古代ノルドの遺跡が点在している。

ところが、リーチは地勢上、隣接するハイロックとの浅からぬ因縁がある。

いわゆるリーチ人「リーチメン」と呼ばれる種族は、ハイロックの主たるブレトンの分派で形成されている。ブレトンは人間とエルフの混血であり、本来ならばハイロックに分布するべきブレトンの、いわば異端的な人々がリーチに移り住み、本拠地とした。だから、彼らはブレトンなんだけれども「リーチメン」として、リーチの原住人とされる。

 

よく勘違いされるが、このリーチメンの中でも、古代からの文化と宗教を継承し、ノルドたちの支配を受け入れない分派ともいえる存在が「フォースウォーン」であって、リーチメン全体がフォースウォーンなのではない。マルカルスの労働者階級は非常に困窮した生活を送っているが、身なりや宗教文化はすっかり、ノルド文化を受け入れている。彼らはリーチメンの穏健派。

一方、これを徹底して受け入れず、古代から続くリーチメン本来の文化や宗教を守り伝えているのが「フォースウォーン」。だから、彼らは自分たち以外の種族を認めない。リーチはフォースウォーンの支配する土地なので、他の種族が入ってくることを認めないのだ。

 

シロディールの帝国がオブリビオン動乱(TES4)によって支配力を弛緩させていく中で、その根幹ともいうべきノルドの支配力も低下していく。中でも、大戦にはスカイリム中から文字通り根こそぎ動員によってシロディールや帝都での戦闘に駆り出されたこともあり、スカイリムの支配が大きく揺らいでいた。

リーチメンの強硬派ともいうべきフォースウォーンはこの機会を見逃さなかった。彼らは一斉蜂起し、リーチを奪還した。

しかし、その支配は長く続かなかった。帝都で捕虜となり、その後釈放されたウルフリック・ストームクロークが志願兵たちを引き連れてマルカルスを奪還した。

まあ、フォースウォーンの身なりを見てれば、このあたりは理解できる。マルカルスの人々にとっても、「もう第4紀だぜ?なのにあんな恰好の連中を?」と思うのも無理ないし、彼らの支持をフォースウォーンが得られるとは到底思えない。

こうして、フォースウォーンはリーチ各地に潜伏し、ゲリラ戦を開始する。ノルド政権である現マルカルスの首長に対して散発的な抵抗をし、彼らの支配を動揺させて、再び一斉蜂起の機会を狙っている。ということになる。

もちろん、今は穏健派のリーチメンたちも、ノルドとの対立関係が成立すれば、フォースウォーンに身を投じることだってあるだろう。そういう、非常に微妙な政治情勢にあるのがリーチなのだ。