日々ぴこぴこ

TESとかFalloutとか、思ったことを淡々と。

カタリナ号と、皇帝、皇帝暗殺

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三本マストの大型帆船。船首には像と旗が取り付けられ、船尾楼は大型。船首と船尾は金色で塗装されて、皇帝の帆船というにふさわしい豪奢なつくりになっている。

名前の由来は、狂王ペラギウスことペラギウス3世の妻・ダンマーのカタリナからであろう。

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『帝国の略歴』第二巻に書かれているとおり、カタリナは夫の狂王死後、女帝として即位した。彼女は(帝都が嫌いだったからもあるが)積極的にタムリエル中を旅し、属州との関係回復につとめた。そして、ブラックマーシュで客死してしまう。

タイタス・ミード2世も、客死する運命にある。

 

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アンカーの出し入れ口から潜入する。

 

f:id:speakeir:20180423173441j:plain船員も近衛兵も暗殺し、皇帝に近づく。

 

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甲板にも近衛兵が群がっている。甲板には玉座があり、航海時に皇帝はここに御するのであろう。

皇帝は軍事総司令官でもある。遠征航海時には、幕僚が周囲に居並び、本陣としての役割を担うのだろう。

 

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皇帝区画への入り口は固く封鎖されている。

副官や船長がマスターキーを持っている。

盗賊ギルドよろしく、一切の暗殺を行わずに皇帝のみを標的とする場合、彼らからマスターキーをすり取るほうが「盛り上がる」。

 

 

さて、帆船で「三本マスト」というのは中型から大型船になる。

大航海時代を支えたキャラック船は多いもので4本マストを備えていた。

マストの多さは航行速度を保証するが、同時に維持するための船員を確保しなければならない。つまり、遠洋航海を目的としている。

例えばコロンブスによる大西洋横断は、3隻90人という編成であった。1隻あたり30人で、これはすべて航海に必要な船員の数である(もちろん、最低限の守衛や艦隊幹部も含むが、大半は船員)。

カタリナ号はキャラック船より大きめに思われるので、ガレオン船に近いかもしれない。ソリチュード沖に停泊していることを考慮すれば、大半の船員や近衛兵は上陸していて(実際、マロ指揮官はソリチュード港で近衛兵を指揮していた)、このミッションで遭遇する船員や近衛兵は、船内待機組であろう。

 

このミッションで暗殺されることになるタイタス・ミード2世。

皇帝の暗殺というのは、日本人からすれば「タムリエル帝国の終焉」を意味するように思われがち。しかし、セプティム朝もミード朝も、ローマ皇帝をモチーフにしているから、皇帝が不在でも帝国は存続する。

ローマ帝国は、独裁国家を回避するために成立したローマ共和国の変質形であり、元老院の支持と支援を受ける「皇帝」が全権限を掌握して、市民からも支持・支援を受けるという前提で広大な領土を支配した。帝国は皇帝の私物ではなく、皇帝は常に帝国市民と元老院のご機嫌取りに腐心した。日本の天皇征夷大将軍とは違って、皇帝に「血縁」という要素は存在しない。

もちろん、セプティム朝はドラゴンファイアを灯すことができる「ドラゴンボーン」の要素を血縁として引き継いでいたという側面もあるが、これは反面、セプティム朝血統の正統性を補強する要素でしかなく、セプティム朝の皇帝は下半身ユルユルだったので、各地にセプティムの血縁者が乱立していた。つまり、皇帝を選出する権限は元老院と、元老院を支持する市民や軍隊に存した。

 

辛うじて血縁による相続を認められたセプティム朝と違い、ミード朝は実力主義で皇帝を名乗った経緯もあり、大戦の実質的敗北によって帝国内の求心力は極限にまで低下していた。もはや、ミード朝は元老院や市民の支持を受けうる要素を失っていた。

しかし、タイタス・ミード2世が無為無策であったとは思えない。実質的敗北の講和条約とはいえ、シロディールの平和はもたらされ、帝都は回復した。前王朝の立役者であるがミード朝にとっては縁もゆかりもないタロスへの崇拝を犠牲にすれば、すくなくともタムリエル中部から北部は平和になる。こうした判断からすれば、彼が白金協定を締結することは、メリットこそあれ、デメリットは極めて少ないのだ。

 

しかし、元老院は黙って許容しなかった。

ローマ帝国なら、元老院と軍隊が結託して皇帝を弑逆、あるいは引退に追い込み、新しい皇帝を選出する。TESの世界では、闇の一党の出番となる。

元老院が皇帝の引退(平和的な皇帝交代)を目指さなかった理由としては、タイタス・ミード2世自身が引退を拒絶していた点が挙げられるだろう。おそらく、彼は自分が引退すれば、帝国は本当に崩壊してしまうという思いが強かったのだろう。

 

皇帝が不在となるTES第4紀。しかし、これはタムリエル帝国にとって初めての「皇帝不在時代」ではない。新しい皇帝をどこから選ぶか。だれが名乗り出るか。次作の楽しみなところでもある。