日々ぴこぴこ

TESとかFalloutとか、思ったことを淡々と。

ウィンドヘルムの手紙

スカイリムの歴史は殆ど、分からない。

このあたり、ベセスダらしいなあ、と思う。後付け・改変・創作上等かかってこいや、的な。

 

中でも、その断片を探る書籍はいくつかある。

『ウィンドヘルムの手紙』

 

elderscrolls.wikia.com

ウィンドヘルムの手紙 : Skyrim Library

 

体裁は、第三紀に焼けた民家の金庫から発見されたもの、という。発見された手紙はおそらく、第二紀のものだろうと推測されている。

 

登場人物は、手紙の差出人リーリア(Reylia)、宛先は夫と思われるテッサロニウス(Thessalonuis)、二人の子供であるステッスル(Stessl)とシャプル(Shapl)。間接的に、無責任なエルグリル(Elgryr the Unminded)。エルグリルはウィンドヘルムの首長、ヤールである。

 

冒頭は困窮するウィンドヘルムで生活する妻から、ソリチュードで働く(あるいは兵役に就く?)夫への手紙であったり、仕送りを求める内容なのだが、最後の二通で変化が生じる。

子供二人が書いた手紙に、お客さんが多いという記述があり、その後、最後の手紙では妻リーリアが反体制派を糾合し、反乱を起こしたと告白する。どうも、妻リーリアは反乱軍の指導者層だったようで、賛同する人々を家に招き入れ、ついに反乱を起こしたようだ。その結果は不明である。

 

手紙は、首長から各家に発給される徴税請求書の裏面に書かれていたようで、羊皮紙などの紙代替品ではなく、紙らしい。

 

気になるのは、夫だけ明らかにローマ風の名前、つまりインペリアルと思われる点で、他はスカイリム特有の、北欧風だということだろう。スカイリムに駐屯してきたインペリアルと地元・ノルドの女性が結婚したのか、インペリアル系の交易商人が、海運で通じるソリチュードとウィンドヘルムを行き来しているとき、ノルド女性と結婚したのか。いずれにせよ、人種はインペリアルの夫とノルドの妻という可能性が高いだろう。

 

第二紀という時代は、シロディールでレマン一世が即位し、いわばドラゴンボーンの王朝が始まった時期にあたる。この時、シロディールの帝国は属州に対して、帝国軍を受け入れ、属州独自の軍事力は極力削減するよう求めていた。その結果、オブリビオン動乱の際は属州独自の兵力がなく、帝国軍がシロディール防衛のために属州から引き揚げたため、属州の帝国への支持が低下し、帝国自体の求心力が衰えるのだ。

そういう背景を考えれば、やはり夫はシロディールから派遣された帝国軍で、もともとはスカイリム最古の都市・王都であったウィンドヘルムに駐屯していたが、最も帝国派都市であるソリチュードに異動した、そのままウィンドヘルムに戻ることができなかったと考えるのが自然だろう。

また、手紙の内容から考えると、ウィンドヘルムの統治は混沌としており、いわば恐怖政治が敷かれていた。家族がウィンドヘルムにいるといっても、帝国軍はウィンドヘルムへの進駐が難しい政治事情があったのだろう。

じゃあ、なんで家族はソリチュードに移住しなかったのか、それは個々の事情だろう。今日のように気安く移住できる時代ではなかっただろうし、インペリアル軍人と結婚することを考えると、妻の一族はもしかしたら、ウィンドヘルム貴族だったかもしれない。そもそも、都市に住めるというのはそれだけの特権を有しているということだから、相応の地位をもった家族だったのだろう。

 

手紙はすべて、ソリチュードに保管されていたが、混沌とした情勢でいつしか、金庫に眠ったまま放置された。ソリチュードにせよ、ウィンドヘルムにせよ、塀の中に住めるというのは「市民権」であって、相応の権利である。家を相続するには王の許可が必要なので、テッサロニウスが去ったのち、住んだ家族は家の中にある金庫もろもろ、家財道具すべて相続して生活していた。それが火災によって全焼し、幸い残った金庫に、これらの手紙があったということだろう。

もっとも、耐火金庫がこの時代の技術で存在するかが最大の謎なのだが。