日々ぴこぴこ

TESとかFalloutとか、思ったことを淡々と。

冷風ヶ淵

elderscrolls.wikia.com

ファルマーによるスカイリム攻撃を象徴づける場所。

この訳、なかなか絶妙だと思いません?

 

古代ノルドの遺跡とか、なんらかの遺跡ではなく、洞窟状の地域を自らの住処としたファルマーは、周辺を通り過ぎるキャラバンや農民を襲撃していた。

 

ここにfirirという男性の遺体があり、そこに手紙がある。

この手紙、Eydisという女性に宛てた「最後の手紙」なのだが、このEydisはオールド付ロルダンの女亭主・エイディスだというのが、Wikiaの解釈。

本当かどうかは分からない。

 

キャラバンが襲撃されていた、という情報と、最寄に「追いはぎ峡谷」があることを考慮すると、この街道は暫く前から使われていないようだ。

もともとは、ソリチュードからホワイトラン以南へのキャラバンルートだったのだろう。

ホワイトラン周辺は農作物が豊富に産する地勢で、逆に言えばそれ以外は交易によるしかない。海産物とか、主に塩とか。

また、はちみつ酒しか産しないことを考えると、エールやワインもだろう。

 

かつて、イギリスとフランス西海岸は、主に塩の交易を頻繁に行っていたが、それを狙って「サン・マロ海賊」が発生した。交易と海賊は表裏一体だが、スカイリムでも同様、交易と山賊は表裏一体なのだろう。

 

もし、FirirとEydisが本当に夫妻であるならば、Firirはカース渓谷を拠点として、キャラバンを率いていたか、関わっていたのだろう。マルカルスを首府とするリーチは、山地に抵抗勢力・フォースウォーンが根城を作っていて、マルカルスからソリチュードへの道はそれこそ、命がけの街道である。そこでマルカルスから一度東、ホワイトランに向かい、ロリクステッド方面に北上したうえで、ソリチュードに迎えば比較的安全だ。そう考えると、この道が交易に用いられていた理由もわかる気がする。

 

ドラゴンボーンがファルマーを退治したところで、街道は元には戻らないのだが。

Word Wall カイネの安らぎ編

speakeir.hatenadiary.jp

一度取り上げた「ランヴェイグのファースト」。ここで得られる力の言葉は「カイネの安らぎ」。スプリガンなどの影響で敵対化した野生動物の敵対状況を解除する、結構便利な力。

カイネは八大神のひとつ、キナレス。ノルドやスカイリムでは女神カイネと発音される。風や大気、空の神。自然環境そのものを神格化した存在というべきで、狩猟や採掘作業を頻繁に行うスカイリムにはうってつけの神様。

 

ところで、力の言葉を学ぶWord Wallにはそれぞれ、文章が刻まれている。

結構面白い内容なので、訳してみる。

 

ja.elderscrolls.wikia.com

一つ目の言葉:kaan

Here lies (the) body of Hela,
friend to all beasts,
servant of Kyne. May she find
rest in the Forest of Dreams.

 

ここには、すべての野獣たちの味方にして、カイネのしもべ、ヘラの遺体が安置されている。もしかしたら、夢の森のなかで、安らぐ彼女を見つけられるかもしれない。

 

二つめの言葉:drem

Noble Nords remember these words
of the hoar father: Pray
not for peace, for such is
(the) wish of (the) weak and cowardly.

 

賢明なるノルドたちは、寒き父のこれらの言葉を覚えている。「祈り」

平和のためではなく、弱く臆病な者たちの願いとして。

 

三つ目の言葉:Ov

Here fell maiden Valkrys
who fought with courage, but
was wrong to trust (the) power
of (a) borrowed sword.

 

ここには乙女 Valkrys の盾が落ちている。彼女は勇気とともに戦った。しかし、借りたソードの力を信じるのは間違っていたのだ。

 

全体的に、曖昧な言葉をドラゴンワードにして、それをさらに英語に戻してるから、大変訳すのが難しい。Wikiaの編者が()を多用しているのは、冠詞が竜語にないからだろうし、憶測だろうけれど、それにしても難しい。

全体的に、動物たちの敵対化を解除するだけあって、戦うことは間違っている、弱くはかない動物たちの仲間となるよう諭しているような気がする。

 

 

 

Skyrimストーリーの初歩・導入②

前提として、TESの世界はシリーズを重ねるごとに改変、後付けが多いので、分かりにくくなること。

少なくとも、以下はSkyrim時点でのストーリー。

 

○帝国とは?

第三紀、ノルドの将軍、タロス、インペリアル名でタイバー・セプティムは、外敵を排除するなどの軍功により、皇帝となる。以外、シロディールを首府とする帝国をセプティム朝と呼ぶ。

セプティム朝には竜の血脈(ドラゴンボーン)が神々の恩寵として与えられていた。ちなみに、Oblivionではそこまで明示されてなくて、王者のアミュレットを身につけられる、とぼかされていた。

 

タイバー・セプティムはグレイビアード達によれば、ひさびさに現れたドラゴンボーンだったが、彼が現れた時、特にタムリエルにドラゴンがいたわけではない。つまり、彼が神々の恩寵としてドラゴンボーンになったのは、いわば神々の気まぐれに過ぎない。もしくは、現実世界と神々や悪魔の世界の障壁を強化しようという考えかもしれないけれど。

 

セプティム朝は、シロディール以外の地域を速やかに平定し、各地に帝国軍を進駐させた。各地を属州とし、一定の自治権を与えながら、軍事力は奪い取った。こういう統治はローマ帝国そのもの。

 

Oblivion動乱の時、長い平和で衰退しきった帝国軍は、シロディールを防衛するだけの実力しかなく、属州進駐の帝国軍はデイドラで溢れかえり、属州の市民を殺戮する状況を見捨ててシロディールに逃げ帰った。モロウィンドではレドラン家などの有力な氏族が私設軍で対処したが、それでも他の属州の侵略を受けた。

こうして、属州の帝国への支持は低下していく。

 

○エルフ達の逆襲

かつて、タムリエルに繁栄したエルフ族は、人間達の進出で南に流れるほかなく、中でも純エルフとされるアルトマーはサマーセット島で反帝国派と帝国支持派に分かれていた。Oblivion動乱の結果、デイドラを駆逐する主力となった反帝国派は、帝国支持派を一掃し、主導権を握る。この勢力がサルモールであり、サマーセット島の新国家がアルドメリ自治領だ。

サルモールは、ウッドエルフやカジートの国家を糾合して、帝国に戦いを挑む。これが「大戦」だ。

 

大戦はサルモールの事実上の勝利に終わる。

さて、サルモールの要求には、ノルドに到底許容できない内容があった。

シロディールの帝国は、タロスの功績を称え、それまでの「八大神」に加えて「九大神」とした。いわば、実在の人間を神にした。

エルフ達にしてみれば、自分たちを南西の小島に追いやった人間達の中から、神聖なるエイドラが勝手に加えられたわけで、長い間耐えられない苦痛だった。

サルモールは、エイドラからタロスを排除しろ、と求め、帝国は受け入れた。

 

○ノルド急進派の反逆

これまで帝国に協力的だったノルドの中には、この決定を帝国の裏切りとみて、独立を画策する勢力が生まれる。

その急進派の首領が、オープニングで主人公とともに馬車に乗り、処刑を待つウルフリック・ストームクロークだ。

ウルフリックは少し前、スカイリムでも帝国派であったソリチュードのトリグ上級王を決闘で殺しており、帝国から追われていた。

混乱するスカイリムに派遣されたのが、テュリウス将軍で、彼は着任早々、策略でウルフリックを捕え、処刑して反逆ノルドを分解しようとしていた。

 

○時の流れに封印されたアルドゥイン・世界を破滅させるもの

古代ノルド達が、エルダースクロールの力で時の流れに封印した、世界を破滅させられるドラゴン、アルドゥインは、このタイミングで復活する。そして、神々の気まぐれな恩寵によって生まれるドラゴンボーンも、突然その運命を知る。主人公は、アルドゥインの脅威から再び、タムリエルを救うためにドラゴンボーンとして、新しい日々を過ごすことになるのだ。

Skyrimストーリーの初歩・導入①

なんでもできるけれど、何をしたらいいか分からない。

そもそも、どういうストーリーか暫くプレイしないと理解できない、それがSkyrim

 

僕は、もともと中世ヨーロッパなどの歴史に詳しいほうなので、分からなくても最初からいろいろ推論して楽しめたけれど、そうじゃない人のほうが大多数だ。

 

そこで、いろいろセンテンス事にまとめてみようと思った。

 

〇ベースは中世ヨーロッパ

TESシリーズすべてに言えることだけれど、中世ヨーロッパ、中でもドイツ以西をモチーフにしている。TES5の舞台はドイツから北、北欧だ。

 

〇神と悪魔が実在する。

現代社会では実在するかどうか、人によって判断が異なるけれど、TESの世界では神(エイドラ・九大神)も悪魔(デイドラ)も実在する。彼らは現実世界とは異なる世界に、独自の領域をもっているものの、時として彼らに強い興味を抱く人間・エルフを自らの世界に引き込んだりする。

 

〇種族は多数いる。

舞台となるタムリエルというのは、ニルンという惑星にうかぶ大陸だ。この大陸の四方には、人間・エルフ両種族の祖先が住んでいる(住んでいた)。例えばTES5の主人公たるノルドは、アトモーラという大陸に住んでいた人間で、内紛に嫌気がさした人々が、新天地としてタムリエルに上陸した。しかし、それ以前からエルフ族が違う大陸から上陸していて、人間とエルフの相克が始まった。タムリエルの歴史は、言い換えれば人間とエルフの、タムリエル主導権を巡る内紛といってよい。

 

〇魔法も実在する。

なぜ魔法が実在するのかは、長い長い歴史があるので割愛。

 

〇種族ごとに特性がある。

〇ノルド

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金髪白色、のうみそきんにく君のノルド。古代スカンディナヴィアに反映した、ヴァイキングがモデルだろう。さすがに、最近の北欧人種と一緒にされると失礼だろうし。

恐ろしく寒さに強く、薄着でも平気。魔法や学問をどこか小馬鹿にしていて、武器と酒で語り合うことが多い。近所にいたら迷惑な人々。

 

〇ハイエルフ

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アルトマーと呼ぶ。エルフ族の中でも、もっとも「原始的なエルフに近い」種族。タムリエル大陸南西に浮かぶサマーセット島出身。自分たちを高潔な種族と信じ、きわめて高圧的かつ無礼。魔法にめっぽう強く、ノルドの対局にいるといってよい。彼らがもともと使っていた魔法は複雑怪奇だったのを、一般の人々でも使えるように改良したものが、ゲーム上で用いられる魔法。古代魔法はもっと強力だったり、複雑だったらしい。ただ、肉弾戦になると恐ろしく弱い。TES5ストーリー上、第二の主人公といってよい。

 

〇インペリアル

elderscrolls.wikia.comかつて、スカイリムに上陸して瞬く間にタムリエル各地に進出した人間種の、いわば発展型。タムリエル大陸の中央、もっとも豊かなシロディールを征服したのち、外交能力を身に着け、ノルドよりはるかに社交的になったし、学術に対しても理解を深めた。その分、ノルドのような筋肉質は失っている。魔法・武器ともに平均的になりすぎて、特徴という特徴を見出せない種族。

 

〇ブレトン

elderscrolls.wikia.comタムリエル大陸北端、ハイロック出身。彼らはエルフと人間種の混血で、魔法を使いこなせる人間種である。ゲーム上では商売汚いように描かれるところがある。肉体もか細いことが多く、魔法に特化している。でもエルフ族ほどマジカを備えているわけじゃないので、決して魔法戦に強いわけじゃない。こちらも、どっちつかずになりがちな種族。

 

ダークエルフ

elderscrolls.wikia.comダンマー。TES3の舞台、モロウィンド出身の種族。昔は黒くなかったけれど、禁忌の武器を使って神様(エイドラ)を怒らせて黒くなった、といわれているけれど、本当かどうか知らない。

魔法に特化されていて、これはTES5DLCのソルスセイムでも、襲ってくる連中の多くが魔法戦を挑んでくることからも明らか。猜疑心が強く、皮肉っぽいことをよく言うけれど、仲良くなるといい人が多い。闇の一党の源流は彼らにある。

 

〇ウッドエルフ

elderscrolls.wikia.comボズマー。タムリエル大陸南部・ヴァレンウッド出身。狩猟を得意とする種族である一方、すこし変わったキャラクターとして認知されている。変わったという表現が適切かどうかわからないが、TESシリーズで出てくる多くのボズマーは、犯罪者だったり偏執家だったり、とにかくめんどくさい。ちなみに、同族を食う。

 

〇オーク

elderscrolls.wikia.comオーシマー。エルフ族の中でも魔法より肉弾戦に特化されている。彼らの歴史は差別の歴史で、涙なしでは語れない。今日でも多くのオーシマーは、同族だけで辺境に村を建て、ひっそりと過ごす。

 

〇レッドガード

elderscrolls.wikia.com人間種だが、原初はノルドと違い、もともとの出身大陸がある。モデルはアフリカ・アラブ系の人種。アラブ系の曲刀を用いて、もっぱら肉弾戦を得意とする。話し方や交渉方法も単刀直入であるが、その分なぜか素朴で嫌いになれない性質の人々。タムリエル西部ハンマーフェル出身。

 

〇カジート

elderscrolls.wikia.com猫族。タムリエル南部エルスウェーアの種族。『火中に舞う』シリーズでは、狂暴な一面を露にするが、ゲーム上ではかわいい。

 

〇アルゴニアン

elderscrolls.wikia.comタムリエル大陸南東、ブラックマーシュ出身。トカゲ族。

 

アルゴニアンとカジートは、闇の一党や盗賊ギルドに近い特性がある。暗殺や窃盗に特化したキャラクターというべきか。

 

 

〇すでにストーリーは第二段階に入っているからややこしい。

 TES1から4、名作名高いOblivionに至るまで、主人公はユリエル・セプティム七世という、名君だか暗君だかわからんオッサンだった。

 もともと、現実世界と神や悪魔が住む世界には、様々な障壁があったから、お互いに自由に行き来することができなかった。

 シロディール帝国の皇帝だけに受け継がれる、ドラゴン・ファイアや王者のアミュレットもその障壁の1つだったのだが、それ以外のトリガーをすべて自ら破壊してまわったのが、このユリエル皇帝。その挙句、最後の障壁である自らの血とアミュレットを、暗殺者に奪われてしまうという失態を演じ、悪魔が自由に現実世界に侵入できるようにしてしまった。これがOblivionのストーリー。いわば、皇帝が自ら現実世界を破壊する歴史が、TES4までのあらすじ。

 ユリエル皇帝の隠し子が、エイドラの一人に変化することで障壁が復活し、今はデイドラが自由に来ることは無くなった。

 

 TES5の世界は、いわばTESの第二段階のストーリーとなる。

 

 

ウィンドヘルムの手紙

スカイリムの歴史は殆ど、分からない。

このあたり、ベセスダらしいなあ、と思う。後付け・改変・創作上等かかってこいや、的な。

 

中でも、その断片を探る書籍はいくつかある。

『ウィンドヘルムの手紙』

 

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ウィンドヘルムの手紙 : Skyrim Library

 

体裁は、第三紀に焼けた民家の金庫から発見されたもの、という。発見された手紙はおそらく、第二紀のものだろうと推測されている。

 

登場人物は、手紙の差出人リーリア(Reylia)、宛先は夫と思われるテッサロニウス(Thessalonuis)、二人の子供であるステッスル(Stessl)とシャプル(Shapl)。間接的に、無責任なエルグリル(Elgryr the Unminded)。エルグリルはウィンドヘルムの首長、ヤールである。

 

冒頭は困窮するウィンドヘルムで生活する妻から、ソリチュードで働く(あるいは兵役に就く?)夫への手紙であったり、仕送りを求める内容なのだが、最後の二通で変化が生じる。

子供二人が書いた手紙に、お客さんが多いという記述があり、その後、最後の手紙では妻リーリアが反体制派を糾合し、反乱を起こしたと告白する。どうも、妻リーリアは反乱軍の指導者層だったようで、賛同する人々を家に招き入れ、ついに反乱を起こしたようだ。その結果は不明である。

 

手紙は、首長から各家に発給される徴税請求書の裏面に書かれていたようで、羊皮紙などの紙代替品ではなく、紙らしい。

 

気になるのは、夫だけ明らかにローマ風の名前、つまりインペリアルと思われる点で、他はスカイリム特有の、北欧風だということだろう。スカイリムに駐屯してきたインペリアルと地元・ノルドの女性が結婚したのか、インペリアル系の交易商人が、海運で通じるソリチュードとウィンドヘルムを行き来しているとき、ノルド女性と結婚したのか。いずれにせよ、人種はインペリアルの夫とノルドの妻という可能性が高いだろう。

 

第二紀という時代は、シロディールでレマン一世が即位し、いわばドラゴンボーンの王朝が始まった時期にあたる。この時、シロディールの帝国は属州に対して、帝国軍を受け入れ、属州独自の軍事力は極力削減するよう求めていた。その結果、オブリビオン動乱の際は属州独自の兵力がなく、帝国軍がシロディール防衛のために属州から引き揚げたため、属州の帝国への支持が低下し、帝国自体の求心力が衰えるのだ。

そういう背景を考えれば、やはり夫はシロディールから派遣された帝国軍で、もともとはスカイリム最古の都市・王都であったウィンドヘルムに駐屯していたが、最も帝国派都市であるソリチュードに異動した、そのままウィンドヘルムに戻ることができなかったと考えるのが自然だろう。

また、手紙の内容から考えると、ウィンドヘルムの統治は混沌としており、いわば恐怖政治が敷かれていた。家族がウィンドヘルムにいるといっても、帝国軍はウィンドヘルムへの進駐が難しい政治事情があったのだろう。

じゃあ、なんで家族はソリチュードに移住しなかったのか、それは個々の事情だろう。今日のように気安く移住できる時代ではなかっただろうし、インペリアル軍人と結婚することを考えると、妻の一族はもしかしたら、ウィンドヘルム貴族だったかもしれない。そもそも、都市に住めるというのはそれだけの特権を有しているということだから、相応の地位をもった家族だったのだろう。

 

手紙はすべて、ソリチュードに保管されていたが、混沌とした情勢でいつしか、金庫に眠ったまま放置された。ソリチュードにせよ、ウィンドヘルムにせよ、塀の中に住めるというのは「市民権」であって、相応の権利である。家を相続するには王の許可が必要なので、テッサロニウスが去ったのち、住んだ家族は家の中にある金庫もろもろ、家財道具すべて相続して生活していた。それが火災によって全焼し、幸い残った金庫に、これらの手紙があったということだろう。

もっとも、耐火金庫がこの時代の技術で存在するかが最大の謎なのだが。

 

 

ミード・酒・水

書くことがないので、うんちくを。

 

中世ヨーロッパではもっぱら、酒類しか飲み物がなかったことは一度書いた。

 

ヨーロッパでは新鮮な水というものが枯渇していた。疫病の原因にもなる、腐敗した水を飲む人はとても少なく、自然、喉が渇くと酒を飲んでいた。

大航海時代によってコーヒーや紅茶という日常的に飲める飲料が誕生すると、爆発的に発展する理由は、そういったノンアルコール飲料があまりにも少なかったからだ。

人々は、喉が渇くと酒を飲む。だから日常からすこしほろ酔いだった。

 

Skyrimの各都市には井戸がある。

サバイバル系Modでは、井戸で水をくむという方法で飲料調達を行うが、これは実はありえない。今日のヨーロッパでさえ、ありえない。いや、厳密には日本以外ではありえないといえる。

海外の人は、旅行に出向くと必ず水を買う。だから清潔な水は十分な商材として成立している。日本でも最近は水が一般的に買うものになりつつあるけれど、これは実は不要で、日本では水道水が飲める。

江戸時代以前の日本でも、井戸は万病の原因だった。だからみな、煮沸して飲む。日本には幸い、大陸から到来した茶の文化が古くからあるから、案外早くからノンアルコール飲料が存在した。

 

Skyrimの世界では、酒か水しか飲み物が存在しない。これは、茶の木やコーヒーの原料が存在しないからであって、ノンアルコール飲料が存在しないことを意味する。あらゆるところに転がっているゴブレットなどを見ればわかる通り、もっぱら多くの人々の飲み物は酒なのだ。

 

メイビン・ブラックブライアの財力の源である蜂蜜酒は、一見嗜好品のように思える。しかし、そうじゃない。一般的な飲料であり、必要不可欠な飲み物だった。いわば、ブラックブライアはSkyrim中の生活必需品を独占する、最も強力で強大な企業なのだ。

 

一方、中世ヨーロッパのように宗教と生活が密接不可分な世界観では、「酩酊している」状況はとても重要だった。酩酊している中で神とのつながりを実感し、神の降臨を確認する。人は、酒の力で宗教世界との強いつながりを実感する。酒は今日のように不貞な飲み物ではなく、神とのつながりを確認する、神聖な飲み物だった。

 

TESの世界ではエイドラもデイドラも実在する。ただ、タロスだけは実在する神として我々の前に姿を現すことは無い。

いずれにせよ、酩酊するということは神々との交信を意味する。酒は神聖にして不可侵なものだった。

また、エール(ビール)やワインのように複雑な製法を必要としないミードは、Skyrimのような世界観には適合している。エールやワインは製法が大変で、Oblivionでは巨大なブドウ畑とワイン工場があったように、いわば「企業」規模での製法が必要となる。Skyrimの地は北国すぎて、ブドウをプランテーション化することができなかったのだろう。蜂蜜酒が広範囲に受け入れられ、ブラックブライアが莫大な富を手にした原因は、ここにあるといっていいだろう。

 

そんなことを考えながら、リフテンを散策すると見方が少し変わるような気もする。